研究課題/領域番号 |
19K14971
|
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
土方 規実雄 東京都市大学, 工学部, 講師 (70710507)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 磁気浮上 / ベアリングレスモータ / バーニアモータ |
研究実績の概要 |
本研究は,低速・高トルクと磁気浮上による非接触という,これまでにない新しい機能を備えたモータ「ベアリングレスバーニアモータ」の開発を目的としている。特に,本研究課題においては,永久磁石を用いることでトルク密度を向上したコンシクエント型ベアリングレスバーニアモータの性能向上を目的としている。具体的には,(1)軸支持力の発生に対する電機子反作用の影響の検討,(2)トルクリプルに対する磁気的なギヤ比の影響の検討を実施している。 2019年度は,上記二つの課題を明確に数式により表現することを目標に検討を進めてきた。提案するモータは,従来型のベアリングレスバーニアモータに比べ優れた特性を有する一方で,電機子反作用によって軸支持力の方向が発生したい方向に対してずれを生じる,回転子と固定子の歯数で決まる磁気的なギヤ比によりトルクリプルが大きく変動する,などの課題があることがこれまでの研究により明らかになっていた。提案モータに対し,有限要素法による解析結果を援用しつつ磁気回路法などにより解析的に軸支持力を導出するころで,これらの現象を数学モデルとして表現することができた。その結果,提案モータではトルク発生時に電機子反作用によって磁気支持力の方向が電動機電流の位相に応じた方向に変化すること,提案モータのトルクリプルの次数がバーニアモータの磁気的な減速比に比例した次数となることを明らかにした。 これらの結果をもとに,2020年度以降は,(1)電機子反作用の影響,(2)トルクリプルに対するギヤ比の影響等を検討し,これらのモータ構造の工夫や制御プログラムの工夫による解決法を模索する。また,試作機を設計・製作し実機試験によりこれらを実証する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題の進捗が遅れている原因は二つあり,一つは2019年10月の台風19号による本学,東京都市大学の浸水被害,もう一つは新型コロナウィルス感染防止策としての大学の立ち入り制限である。どちらも,2か月程度の間,研究活動に従事する学生らが行動に制限を受けており,その影響で当研究課題も当初の計画から遅れを生じている。 当初の計画では,2019年度において,研究実績の概要で述べた提案モータの特性の数学モデルの導出に加えて,その数学モデルを用いて磁気支持力やトルクリプルの検討を行うとともに,それらの課題を改善した試作機の設計案を示す予定であった。しかし,現時点で完了しているのは提案モータの特性の数学モデルの導出のみである。 2020年度においては,現時点では新型コロナウィルスへの対応など見通しが不透明な状況ではあるが,効率的に研究を進め可能な限り挽回を図りたいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は,当初の計画の順番通りに,昨年度までの検討で得られた提案モータの数学モデルをもとに,磁気支持力に対する電機子反作用の影響や,磁気的な減速効果とトルクリプルの関係について明らかにしていく。また,有限要素法解析ソフトウェアを用いて,トルク密度を高く維持しつつ電機子反作用やトルクリプルの問題を解決するような電磁気構造を検討する。 当初の計画では,試作機を設計・制作し,その試作機による実機試験により検討結果の妥当性を検証する予定であったが,現時点では2020年度内の実機試験の実施が困難な状況であると考えられる。特性の解析や試作機の設計は,それぞれ専用のソフトウェアを用いて行うが遠隔での実施が可能である。しかし,実機試験は実験系の構築を含めて密室となる実験室に複数人が長時間密集して作業を行う必要があるため,今後の新型コロナウィルスへの対応次第では実施が困難であると考えられる。 以上を踏まえ,最終段の実機試験の実施は今年度は見合わせるものとし,基本的な流れは当初の計画通りに実施することとしたい。
|