研究課題/領域番号 |
19K14972
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
高村 紀充 福岡大学, 工学部, 助教 (10749419)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 純水 / 絶縁 / 窒素ファインバブル / 高分子 / ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC) |
研究実績の概要 |
純水を変圧器の絶縁冷却媒体として使用するためには、抵抗率の向上と抵抗率低下の抑制が必要である。本研究の目的は、ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)で被覆した金属を純水中で用い、窒素ファインバブルや高分子を純水に付加することで、「純水の抵抗率と絶縁耐力を高めることができるか否か」を明らかにすることである。本研究では、3年間の研究期間で、「①窒素ファインバブル付加純水の抵抗率と絶縁耐力の解明」、「②高分子付加純水の抵抗率と絶縁耐力の解明」、「③窒素ファインバブルと高分子の同時付加純水の抵抗率と絶縁耐力の解明」の3項目を実施する計画を立てた。 本年度はまず、当初の計画通り、「①窒素ファインバブル付加純水の抵抗率と絶縁耐力の解明」の研究を実施した。その結果、窒素ファインバブルの付加により、純水の抵抗率は1.8倍程度、絶縁耐力は1.3倍程度、それぞれ向上することが明らかになった。また、次年度以降の予備実験として、「②高分子付加純水の抵抗率と絶縁耐力の解明」と「③窒素ファインバブルと高分子の同時付加純水の抵抗率と絶縁耐力の解明」の研究にも着手し、分子量が二千から百万の間の非イオン性高分子を5~10 ppm程度純水に付加することにより、純水の抵抗率と絶縁耐力が向上する可能性が示唆された。さらに、DLCで被覆した金属を純水中で用いることで、純水の抵抗率低下の抑制と絶縁耐力の向上が実現できることも明らかになった。 一方、当初の計画では想定していなかったが、変圧器の絶縁冷却媒体として最も多く使用されている鉱油に対して窒素ファインバブルを付加したところ、従来のバブリングによる鉱油への窒素付加処理に比べて処理時間を大幅に短縮でき、かつ、絶縁耐力にはほとんど影響を与えないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、初年度は「①窒素ファインバブル付加純水の抵抗率と絶縁耐力の解明」の研究のみを行う予定だった。しかし、「②高分子付加純水の抵抗率と絶縁耐力の解明」、「③窒素ファインバブルと高分子の同時付加純水の抵抗率と絶縁耐力の解明」および「窒素ファインバブル付加鉱油の溶存ガス量と絶縁耐力の解明」の研究にも着手することができた。このため、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、純水の抵抗率と絶縁耐力をさらに向上させることができる高分子の種類と付加量および窒素ファインバブルの同時付加条件を明らかにする計画である。
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備考 |
本研究の成果により、以下の3つの賞を受賞した。 (1)2019 IEEE Japan Chapter Best Paper Presentation Award(2)平成31年電気学会優秀論文発表賞(3)電気設備学会第十二回九州支部賞全国大会優秀賞
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