研究課題/領域番号 |
19K14974
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
奥山 由 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (50761699)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 負イオン / 移動度 / イオン・分子反応 / 反応速度定数 / 大気圧プラズマ / 酸素 |
研究実績の概要 |
近年,大気圧プラズマの医療,環境,農業をはじめとした幅広い産業分野における応用研究が進んでいる。それらのためのスオーム実験によって得られる基礎データは,様々なデータベースにまとめられ,今日の放電プラズマ研究の基盤となっている。しかしながら,移動度測定をはじめとした多くのスオーム実験は低ガス圧力下で行われ,大気圧下における実験は少ないのが現状である。これは,高ガス圧力下においては極微量な不純物によるイオン・分子反応の複雑化および,解析のための大気圧を含む高ガス圧力下における反応速度データが不足していることが,大きな原因の1つであると考えている。 本研究では,大気圧下において,そのような不純物を出来るだけ少なくした超高純度ガス中において,不純物濃度およびイオン移動度測定を行い,得られた実験結果を再現するイオン・分子反応およびイオン移動度を基にしたシミュレーションの構築,それらをフィッティングすることによって,クラスターイオンに至るまでの反応速度係数をはじめとしたプラズマ基礎データについて検討していくことが目的である。具体的には,①実験によるデータ収集,②シミュレーションモデルの構築,③実験とシミュレーション結果のフィッティングによる基礎データの検討の3つを行っていく。 2019年度に①実験によるデータ収集のための実験装置を構築が完了し,②については簡単なシミュレーションモデルを構築し,これまでの実験結果との比較,検討を始めたところであるが,2020年度については,COVID-19感染拡大防止のために実験を行うことが難しく,その代替としてシミュレーションを中心に研究を進めた。その結果,これまでの実験結果とシミュレーション結果を比較することによって,移動度と反応速度係数の推定が可能であることを示唆する結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は①実験によるデータ収集,②シミュレーションモデルの構築,③実験とシミュレーション結果のフィッティングによる基礎データの検討を行う予定であったが,COVID-19感染拡大防止のため①についての実験を行うことが難しかった。その代わりとして,シミュレーションを中心に研究を進めることができ,これまでの実験結果とシミュレーション結果を比較することによって,移動度と反応速度係数の推定が可能であることを示唆する結果が得られている。今年度行う予定であった実験については,2021年度に行い終了出来る予定であるので,(2)おおむね順調に進呈しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度については,COVID-19の影響で①実験によるデータ収集について進展が少なかったため,2021年度は重点的に行う予定である。2021年度も同様の状況が続き実験が難しい場合においては,シミュレーションを中心に研究を進めるとともに,2022年度まで研究計画を延ばすことも視野に入れる。また,2020年度は学会の中止も多く,発表する機会が少なかったため,2021年度に成果を発表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大防止のため,実験を行うことが難しく,それに伴う物品の購入が生じなかったことと,参加予定であった学会については中止あるいは遠隔開催であったため旅費が生じなかった等の理由で次年度使用額が生じた。2021年度については,2020年度行えなかった実験を行い,成果発表を予定しており,使用計画通り進める予定である。2021年度についても同様な状況が続く場合には,研究期間の1年間延長を考えている。
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