研究課題/領域番号 |
19K14982
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
久野 大介 大阪大学, 工学研究科, 助教 (40802088)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 全光信号処理 / 光ファイバ伝送 / 全光波長変換 / デジタルコヒーレント |
研究実績の概要 |
本研究では,遠隔制御光を用いた全光ノードの実現及び検討したノードによる全光ネットワークの設計方法の確立を目的とする.本年度は,遠隔制御光の実現可能性を調査すべく,計算機シミュレーションにより特性の評価を行った.近年,コアネットワークで主流であるデジタルコヒーレント光伝送システムへの適用を念頭に置いているため,計算機シミュレーションでは,受信器における信号等化のためのデジタル信号処理機能のコーディングもあわせて行った. 光ファイバ通信におけるリンク長は,日本国内に限定するとほとんどが300 km以内に収まっている.この特徴を考慮し,ポンプ光である連続光を300 km伝搬させ,波長変換時の信号劣化の程度を評価した.評価では,ポンプ光と同時にダミーチャネルを4波伝搬させたが,非線形クロストークの影響はほとんど観測されなかった.また,ポンプ光自身の自己位相変調によりスペクトル広がりが生じるが,最大2.6 KHzの広がりが1,000 km伝搬で観測されるほどで特性への影響はほとんどないと言える. 全光波長変換器では,波長変換デバイスの前後に挿入する光バンドパスフィルタ(OBPF)の影響を強く受けるが,本検討でもOBPFの影響をもっとも強く受けていることが判明した. 2020年度以降は,ポンプ光伝搬時の偏波変動の影響の解析とその抑圧法の検討,および原理確認実験を行う予定である.また,ネットワーク設計に関しても並行して取り組む予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り,ポンプ光である連続光の伝搬特性解析を行った. 2019年度に実験を行うことになっており,それも順調に実施しているが,外部発表は2020年度に行うことを予定している.
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度以降は,ポンプ光伝搬時の偏波変動の影響の解析とその抑圧法の検討,および原理確認実験を行う予定である.また,ネットワーク設計に関しても並行して取り組む予定である.ネットワーク設計に関しては,全光ネットワークコーディング等の他の全光信号処理との組合せもシミュレートし,有効性の確認を行っていく.また,提案手法は偏波変動の影響を強く受けることが予想されるため,アクセス・メトロネットワークのような数十キロメートル規模のネットワークへの適用も視野に入れ,検討を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
3月開催予定だった国際会議を次年度に見送ったため. 物品費に関しては,高性能ワークステーションが想定よりも安価だったため.
次年度において,国際会議に出席予定であるが,covid19の状況を鑑みると,次々年度に繰り越す可能性あり.
|