LOS-MIMOの通信容量改善を目的としたメタ表面反射板の適用を提案し,実現に向けて研究している.メタ表面縁端部において,周期構造解析通りの反射特性を再現できない課題に焦点を当て研究を進めた.なお,メタ表面縁端部の動作の改善は,特に小型アンテナ設計においても課題として挙げられ,いくつかの対策手法が提案されているが,LOS-MIMO応用においては,位相補償の自由度や偏波の対応も課題として挙げられ既存の方法で十分な解決には至っていなかった. そこで,メタ表面の背面板の縁端部にノッチやスロットを適切に設けることで,メタ表面中央部と同様の反射特性を有するよう補償できることを明らかにした.また,このメカニズムを電流分布から考察し明らかにした.提案手法により,偏波の向きに依らず反射特性を補償できることを確認した.また,メタ表面の素子サイズの影響も明らかにし,AMC帯域幅において補償効果が得られることを示した. 提案手法は特に小型アンテナシステムにおいて,特に緻密な位相制御が必要な場合に利用できる.また,反射板として利用する際も回折設計に寄与できる可能性がありアンテナ・伝搬設計に寄与できる. 本成果は,2022年7月 IEEE International Symposium on Antennas & Propagation & USNC-URSI Ratio Science Meeting (査読付き国際会議)で発表し,そこでの議論も加え,IEEE Transactions on Antennas and Propagationに投稿,2023年4月26日に掲載( Early Access)された.(DOI: 0.1109/TAP.2023.3269155)
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