研究課題/領域番号 |
19K14987
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
石川 直樹 広島市立大学, 情報科学研究科, 助教 (00801713)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 無線通信 / 情報理論 / 大規模アンテナアレイ / 差動符号化 / 非同期検出 / 空間変調 / インデックス変調 / オープンデータ |
研究実績の概要 |
2019年度の成果は計6編の論文としてIEEEのQ1国際誌に投稿し、現時点ですべてが採録判定に至っている。うち5編が国際共著論文であり、1編は単著論文である。研究代表者が主体となって実施した2編を中心に概要を以下に記す。 [成果1] 非正方差動空間変調を時変性ミリ波チャネルに適用し忘却係数の自動追従アルゴリズムを提案。 [成果2] インデックス選択問題を0-1整数計画問題として定式化し最適解をオープンデータとして公開。 [成果1]では非同期適応検出に基づく一般化空間変調を提案した。提案方式はグラムシュミットの直交化法により送信シンボルの非ゼロ成分密度を自由に調整できる。また、第5世代移動通信(5G)にも採用されたミリ波通信シナリオにおいて評価し、適応検出器がミリ波特有の位相ずれを緩和可能であることを明らかにした。特に高速移動環境において、通信オーバーヘッドの大きい同期検出に漸近する性能を達成できる。[成果2]ではインデックス変調におけるインデックス選択問題を整数計画問題として定式化し解の最適性を保証した。この問題は多くの研究者から解決が難しいと指摘されている状況にあった。また、解の探索には多くの計算資源を必要とし、一般の研究環境では解けない可能性があったため、得られた解すべてをMITライセンスのオープンデータとして一般公開した。なお、この探索において本助成により取得した計算機を活用した。これにより、当該研究の更なる活性化が期待される。 その他、共同研究者であるサウサンプトン大学のXu博士およびRajashekar博士が主体となり、サブキャリア分割による全二重ミリ波通信、サブキャリアインデックス変調の送信ダイバーシティ最大化手法や、60年の研究変遷を振り返る包括的サーベイ等に関して進捗が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では2019年度中に成果1のみを明らかにする予定であったのに対し、2020年度中の進捗を計画していた成果2まで進展できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は想定よりも多くの成果が得られたため、2020年度はさらに挑戦的な研究課題に取り組む。本研究課題は申請者が独自に提案したコンセプトに基づいており、世界に先行した成果が得られている。今後も積極的な国際論文誌投稿を通して、提案コンセプトの可能性を模索したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で出張が全面中止となったため。
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