本研究では、追加のデバイスを必要せず、単一カメラのみで参照光の位相シフト量の検出が可能な高精度位相シフトデジタルホログラフィ計測システムを開発する。初年度に、532nmのレーザー、高速ピエゾステージ、関連の光学素子などを導入することにより、提案システムの試作を完成した。空間分割記録を利用して単一カメラによる一回の撮影で校正用の規則性の縞模様と物体情報が含まれたホログラムを同時に記録できることを検証した。その後、顕微鏡システムを本システムに導入して透過型測定物体である植物細胞の記録・像再生を行い、高精度な細胞の形状計測を実現した。 2年目に表面が粗い測定物体への適用を検討した。表面が粗い測定物体からの散乱光は一部校正用エリアに入るため、それが参照光のシフト量の計算に及ぼす影響を明らかにし、参照光、物体光、校正光の最適強度比を検証した。さらに3-stepランダム位相シフト計算手法を導入することで、先行研究に必要な4枚位相シフトされたホログラムを3枚に減少し、提案システムの計測速度を向上した。従来法では、位相シフト装置の動作精度により測定物体の再生像に不要な共役像成分がよく残留する問題があった。提案システムは記録した規則性の縞画像からサンプリングモアレ法のような画像処理手法を用い、参照光の位相シフト量を精確に検出でき、高精度・高安定性の3次元計測システムを実現し、工業検査、バイオ、医療など様々な分野への応用が期待できる。
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