研究課題/領域番号 |
19K15006
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
飯泉 英昭 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (90635822)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 動的圧力 / インフラサウンド / 計測 / 干渉計 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、インフラサウンドと呼ばれている20 Hz以下の空気振動を圧力の絶対値として計測するために、光学的手法を用いて高速高精度な圧力計測システムを開発する事である。本研究では、圧力変動は数百 Pa以下、周波数は20 Hz以下を対象としている。平成31年度は主にマイケルソン干渉計を利用したレーザー測長器により圧力容器内の圧力を測定するシステムの構築を行った。 導入したレーザー測長器の参照光路、測定光路に制作した光学窓付きの圧力容器をそれぞれ設置し、光学窓を通して容器内をレーザーが通過するよう配置した。圧力容器内の圧力はハンドポンプなどで調整可能である。 参照光路側の容器を封じ切り、圧力を一定に保った状態で、測定光路側の容器内の圧力をハンドポンプで変化させた時のレーザー測長器の出力値の変化を調べた。その結果、圧力の変化に応じてレーザー測長器の出力値が変化することを確認できた。これは、圧力変化による光学的距離の変化を、レーザー測長器による高速サンプリングで測定するという本研究の基礎が実現できたことを示している。 また、加振器を導入し、測定光路側の圧力容器内の体積を変化させることで圧力を周期的に変化させることにも成功した。加振器の振幅、周波数を調整することで、圧力値の振幅や周波数を任意に設定できる。周期的な圧力変化に対しても、レーザー測長器により再現性良く測定できることを平成31年度までに確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
参照光路、測定光路それぞれに容器を設置したうえで、レーザーを干渉させることや、レーザー測長器のS/Nを改善することに苦戦したが、圧力変化に対するレーザー測長器の出力変化を確認できており、おおむね順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまず、構築したシステムの安定性の向上を行う。現状でレーザー測長器の出力の主なノイズ要因となっている振動の影響を低減する。また圧力や温度を安定化し、そのうえでの測定値の安定性評価を行う。 また、光学的距離と圧力値の関係性を現在保有している静的圧力測定技術を用いて詳細に評価する。これにより、構築したシステムにおいてレーザー測長器から得られる光学的距離から圧力値への換算するための係数を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究予算で当初購入予定であったレーザー測長器に、既存の保有装置を使用することができたため、その分の次年度使用額が生じた。 一方で、本研究では振動が測定ノイズの主要因となっており、対策が必要であることが判明した。このような、測定の安定性向上に必要な対策に予算を使用する予定である。
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