研究実績の概要 |
2021年度は主として, ヒトの姿勢を含めた自転車ペダリング運動に対するアシストの最適化に用いる実験機の動作確認ならびに駆動システムのパラメータ推定をおこなった. 具体的には, 駆動システムの負荷が変動する状態の下でのペダリングトルク・クランク角・ホイール角の測定をおこない, 慣性モーメントや粘性摩擦係数の推定をおこなった. また, これと同時に, クランク角に対するペダリングトルクの変動を可視化している. これらの結果をもとに, パラメータが変動する自転車の駆動システムに対して, 適応制御の適用によってこの変動を許容する高エネルギ効率のパワーアシストの実現を検討した. また, 自転車駆動システムのパラメータ変動を許容するアシスト制御の派生として, 魚眼レンズを装着したカメラを用いて撮影した歪みのある画像情報に基づく倒立振子の安定化制御についても研究している. ある範囲内の歪みを許容する場合の倒立振子の安定化を実現する制御システムの構築法を線形システム理論の枠組みで提案し, 実機により検証した. この成果は, 国際論文誌 (IEEE Transactions on Industrial Electronics) に掲載されることが決定している. また, 本研究の予備的な検証結果を国内会議 (第64回自動制御連合講演会) にて発表した. 現在は, 許容できる歪みの範囲を拡大するために, 非線形システム理論の枠組みでの制御しすてむの構築を検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べた通り, 派生した研究の成果を国際論文誌ならびに国内会議で発表している. しかしながら, 主な研究課題である自転車ペダリング運動に対する高効率アシストの実現については, 研究が遅れている. これは, 研究開始にあたっての研究倫理審査の承認取得に時間を要したこと, コロナ禍により研究活動の時間を削らざるを得なかったこと, 物流の遅延により実機の製作が遅れたことが理由である. 現在は実験システムのパラメータを用いた数値シミュレーションが可能な状態であることから, 「やや遅れている。」を選択した.
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