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2019 年度 実施状況報告書

高密度集積可能なオンチップ光演算回路の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K15037
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

佐藤 孝憲  兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (60835809)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードシリコンフォトニクス / 光集積回路 / 光導波路解析 / 光共振器
研究実績の概要

本研究では、既存の電子デバイス性能の限界を突破し得る要素技術の1つとして「光演算プロセッサ」に着目し、光で演算を行う行列積演算回路と光全加算器の設計・開発に取り組んできた。
令和元年度は初期検討として、簡易な構造により素子を小型化できるシリコンリング共振器を用いた行列積演算回路を設計した。3×3ユニタリ行列積演算が可能であることを示し、数値解析結果より良好な特性が得られることを確認した。一般的なシリコンリング共振器では、1つのリングにバス導波路とアクセス導波路を接続するのに対して、2つのリングを結合させたシリコンリング共振器を用いることで、透過帯域をフラットにするだけではなく、多入力・多出力の光配線レイアウトの簡素化に成功している。また、直線導波路に対して熱や電圧を加えるタイプの位相シフタやマッハツェンダ干渉計を用いた従来のデバイスよりも、1/10から1/100程度まで小型化可能であることを明らかにした。一般に、回路構成に共振器を用いることにより、デバイスサイズと遅延のトレードオフが生じることが問題視されているが、Q値が800程度のゆるやかな共振ピークを持つリング共振器を2段に結合した場合、共振器通過時の遅延(出力が定常状態となるまでの時間)が5ps程度となり、実用上問題ないことを確認した。さらに、提案構造に用いられているシリコンリング共振器は、光全加算器の構成にも取り入れることが可能であり、現在その設計に取りかかっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

行列積演算回路の設計を終え、第1段階の設計デバイスはCMOSプロセスによる試作をおおむね完了している。したがって、当初の予定通り研究を遂行できている。

今後の研究の推進方策

翌年度早々にチップの試作が完了し、測定実験に取りかかる予定である。これを次回のチップ試作にフィードバックし、熱光学効果を用いた4×4程度の行列積演算を行うシリコン光回路の実現を目指す。現在、2次元フォトニック結晶構造を用いた構造も検討しているが、予備実験では、数値解析によって得られたような優位な測定結果が得られていないため、今後は1次元フォトニック結晶構造の検討に切り替えて設計を進めていく。また、熱光学効果よりも高速に屈折率変調可能なキャリア効果も設計に取り入れていく。

次年度使用額が生じた理由

予定よりも順調にシリコンチップ設計が進み、令和元年度のうちにCMOSプロセスによる光回路の試作を行おうと考えていたため、令和元年度12月に前倒し申請を行ったものの、年度内にチップを完成させられず、また、実験拠点の移動も重なったため、試作を急遽中止することとなり、未使用額が生じた。未使用額は当初の計画通り、CMOSプロセスによる光回路の試作代にあてられる。それ以外の当初計画していた助成金については、電磁界解析用のソフトウェアライセンスとワークステーション購入費、学会出張旅費、新たに設計した光回路の試作代にあてられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Ultrasmall design of a universal linear circuit based on microring resonators2019

    • 著者名/発表者名
      Takanori Sato and Akira Enokihara
    • 雑誌名

      Optics Express

      巻: 27 ページ: 33005-33010

    • DOI

      10.1364/OE.27.033005

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] シリコンリング共振器を用いた光演算回路の飛躍的な演算次数増大に向けた検討2020

    • 著者名/発表者名
      佐藤 孝憲, 榎原 晃
    • 学会等名
      2020年電子情報通信学会総合大会
  • [学会発表] 90°曲がりSi細線導波路の円筒座標系に基づくビーム伝搬法解析2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤 孝憲, 藤澤 剛, 齊藤 晋聖
    • 学会等名
      2019年電子情報通信学会ソサイエティ大会

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公開日: 2021-01-27  

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