研究課題/領域番号 |
19K15051
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松井 千尋 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (80823484)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 不揮発性半導体メモリ / メモリシステム / 深層学習 / ネットワーク |
研究実績の概要 |
不揮発性半導体メモリを活用した深層学習向けのメモリシステムを実現するため、メモリのトレードオフを明らかにし解決する。今年度は深層学習を行うクラウドとエッジデバイスで異なるコンピューティングリソースを考慮し、システムだけ、デバイスだけでは解決できない課題に取り組んだ。 多数のエッジデバイスで生成される大量なデータを用いて学習し、エッジデバイスを制御するモデルを考えた。このときシステム全体はエッジデバイス・エッジサーバ・クラウドサーバの複数の階層から構成され、各階層は高速ネットワークで接続される。エッジデバイスからの大量のセンサデータや画像データと、クラウドサーバからの深層学習のモデルや重みデータは、エッジサーバで中継される。クラウドサーバは、ほかのクラウドサーバと通信して共通モデルを更新し、エッジサーバへ共通モデルを分配する。これらにより、エッジサーバには高速・大容量なSingle-level cell (SLC) NAND型フラッシュメモリが必要であり、クラウドサーバには高速な抵抗変化型メモリが必要であると想定した。昨年度までに構築したネットワーク遅延を考慮した不揮発性半導体メモリシミュレータを用いて、各階層で用いられる不揮発性メモリシステムの遅延の影響を評価し、高速ネットワークの遅延と比較した。 これにより、クラウドサーバでは3次元積層した抵抗変化型メモリを用いることで、大容量と低メモリコストを両立できることを明らかにした。またエッジサーバで用いるSLC NAND型フラッシュメモリに高い訂正能力を持つECCを適用する場合、複数のメモリチップを並列動作することで遅延を低減できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クラウドサーバでは深層学習の共通モデルを更新しエッジサーバへ共通モデルを分配するため、高速な抵抗変化型メモリを用いることで不揮発性メモリシステムの遅延をネットワーク遅延より短縮できる。また、3次元積層した抵抗変化型メモリを用いることで、大容量と低メモリコストを両立できることを明らかにした。さらに、書き換えやデータ保持によって不揮発性半導体メモリセルに生じたエラーを訂正するため、ECC遅延を含めたメモリシステム全体の遅延の評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
クルマやセンサなどのエッジデバイスはそれ自身が取得する大量の画像データやセンサデータを保存しなければならない。これらの大量のデータを保存するには大容量の三次元積層のNAND型フラッシュメモリが必要であると考える。そのため、これまでに検討したクラウドサーバ向けおよびエッジサーバ向け不揮発性半導体メモリシステムを拡張し、エッジデバイスからエッジサーバ・クラウドサーバまでを包括するメモリシステムを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
大量のデータを保存するために必要な大容量の三次元積層のNAND型フラッシュメモリを用いたエッジデバイス向けメモリシステムを、これまでに検討したクラウドサーバ向けおよびエッジサーバ向け不揮発性半導体メモリシステムを拡張し検討する。
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