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2019 年度 実施状況報告書

10 Kエレクトロニクスを創生する窒化ニオブジョセフソン接合集積回路の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K15057
研究機関国立研究開発法人情報通信研究機構

研究代表者

宮嶋 茂之  国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室, 研究員 (50708055)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード超伝導 / 窒化ニオブ / ジョセフソン接合
研究実績の概要

本研究の達成に向け、今年度は主に窒化ニオブジョセフソン接合を用いた集積回路の作製プロセスの見直しを行った。これまでにも窒化ニオブジョセフソン接合を用いた集積回路の作製の実績はあったが、施設の移転により作製条件が異なってしまうことによりこれまでの作製条件では同様の回路パラメータ・特性を持つデバイスの作製が出来なくなっていた。
当初の予定ではSi基板の上にバッファ層として窒化チタン薄膜を設けて窒化ニオブジョセフソン接合を作成する予定であったが、窒化チタン薄膜の作製には時間がかかるためMgO基板上に直接窒化ニオブジョセフソン接合の集積回路を作製することで集積回路作製の条件を調査した。
今年度では2インチφのMgO基板上に5 mm x 5 mmの大きさのチップで窒化ニオブジョセフソン接合を用いた集積回路を作製した。2インチφのMgO基板上に 5 mm x 5 mmサイズのチップは 6 x 6 = 36個のチップを作製することが可能となる。このことにより縮小投影型露光装置(ステッパ)において、位置合わせの困難さを抑えつつ集積回路作製の条件を調査した。
また、試料作製において主な材料は超伝導体として窒化ニオブ、層間絶縁層として二酸化ケイ素を用いており、これらの薄膜作製・エッチング加工条件はある程度あきらかになっていたが、抵抗体として用いるモリブデンの作製条件が以前と大きく異なっていた。特にモリブデンの加工条件の最適化に関して、現有装置の制限から時間を多く割く結果となった。
これらの結果として抵抗体のモリブデンを含め、位置合わせ精度として0.5 μmの余裕を設計上で設ければ十分にデバイスを作製することが可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度では窒化ニオブジョセフソン接合を用いた集積回路作製のプロセスの確立と回路パラメータの抽出を行う予定だったが、集積回路を作製する上で、施設の移転等により作製条件が以前と異なっており、その作製条件の調査に時間を多く割くことになった。また、窒化ニオブ薄膜の作製・加工条件はある程度整っていたが、集積回路に必要となる抵抗体(モリブデン)の作製条件、特にエッチング条件が大きく異なっていた。モリブデンを加工する際には反応性イオンエッチング(RIE)を用いているが、従来の条件では保護をするレジストの方が先に削れてしまい、回路作製を途中で断念せざるを得ない状況が続いた。現在ではモリブデンのエッチング条件を最適化することが出来ており、今後は問題なく作製することが可能となっている。
また、装置トラブル等により試料を作製することが出来ない期間があったため今年度では回路作製の条件の中で0.5 μmの位置精度での作製が可能である段階に留まってしまっており、回路パラメータの抽出まで達成できていない。

今後の研究の推進方策

今後の研究ではまず回路作製プロセスにおける欠陥を明らかにし、安定した回路作製が行えるような作製プロセスの確立を目指す。既に0.5 μmの位置精度は達成できており、プロセスの欠陥の原因はある程度判明してきている。
その後、回路作製プロセスの改善を行い、集積回路作製に必要な回路パラメータの抽出を行う。回路パラメータ抽出のための試料は現在プロセスの改善に向けて作製しているものに含まれているため、欠陥を除去して試料を作製することが出来れば、これらの回路パラメータの抽出も可能となる。
これらの回路パラメータを基に論理回路等の設計を行い、再度試料を作製する。回路の設計には作製プロセスによる回路パラメータがバラつくことも想定して、様々な回路を5 mm x 5 mmのチップ内に集積して作製する。これにより小規模のデジタル回路の動作実証を目指す。
当初の予定ではSi基板上に窒化チタン薄膜のバッファ層を設けて窒化ニオブジョセフソン接合を用いた集積回路を作製し、動作温度10 Kで動作させることを目標としていたが、窒化チタン薄膜を作製するための装置の稼働率が本研究以外での用途で非常に高く、本研究で使用できる頻度が非常に少ない。そのため、まずはMgO基板で確実に窒化ニオブ集積回路を作製できることを確認したうえでSi基板に移行することを考えているが、このような状況のため、Si基板上に回路を作製することが時間的に困難となった場合にはMgO基板上に集積回路を作製し、動作温度10 Kで動作することを想定している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] High-time resolved single-flux-quantum encoder for a superconducting nanowire single-photon imager2020

    • 著者名/発表者名
      Shigeyuki Miyajima, Masahiro Yabuno, Shigehito Miki, and Hirotaka Terai
    • 学会等名
      13th Superconducting SFQ VLSI Workshop (SSV2020)
    • 国際学会
  • [学会発表] 超伝導ナノワイヤ単一光子検出器と単一磁束量子回路を用いた光子数識別システムの開発2020

    • 著者名/発表者名
      宮嶋 茂之、知名 史博、三木 茂人、藪野 正裕、寺井 弘高
    • 学会等名
      第67回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 超伝導ナノワイヤ単一光子検出器を用いた 光子数識別システムに向けた単一磁束量子信号処理回路の開発2019

    • 著者名/発表者名
      宮嶋 茂之、知名 史博、藪野 正裕、三木 茂人、寺井 弘高
    • 学会等名
      第80回応用物理学会秋季学術講演会
  • [学会発表] Demonstration of a 64-pixel superconducting nanowire single-photon imaging sensor with single flux quantum signal processor2019

    • 著者名/発表者名
      Shigeyuki Miyajima, Masahiro Yabuno, Shigehito Miki, and Hirotaka Terai
    • 学会等名
      17th International Superconductive Electronics Conference (ISEC2019)
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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