研究課題/領域番号 |
19K15064
|
研究機関 | 木更津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
原田 健二 木更津工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教 (20804876)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 近赤外線分光法 / 自由塩分 / 水分 / 非破壊検査 |
研究実績の概要 |
非破壊によりコンクリートの含水率を測定することで表面塩分量を推定する手法の構築のために,本研究では,コンクリート中の自由塩分が含水率の変化に及ぼす影響の把握とマルチスペクトル法によるコンクリート表面の含水率の測定方法の構築する. 当該年度では,マルチスペクトル法によるコンクリート表面の含水率の測定方法の構築とコンクリート中の自由塩分が含水率の変化に及ぼす影響の実験的検討を行った. マルチスペクトル法によるコンクリート表面の含水率の測定方法の構築のために,近赤外線分光法によるコンクリート中の液状水量推定に及ぼす影響要因について検討した.実験結果より,コンクリートのペースト中の水の吸収ピークは波長1450nm近傍の吸光度に確認され,波長1443nmと1365nmの吸光度の差分と水分量は線形関係を有し,さらに,W/Cが小さいほど同一液状水量時の吸光度の差分は小さいことが明らかにした.そして,波長1443nmと1365nmの吸光度の差分にW/Cによって変化する定数を乗じることでコンクリートのペースト中の水分量を精度よく推定できることが明らかにした. コンクリート中の自由塩分が含水率の変化に及ぼす影響を検討するために,液状水中の塩分濃度の違いが外気の相対湿度に平衡する含水率に及ぼす影響について検討した.実験結果より,外気の相対湿度が高いほど塩分の存在による含水率の増加が顕著になることが明らかにした. 以上の結果より,外気の相対湿度がある程度高い環境下であれば,本研究で構築した非破壊による水分量の推定より,自由塩分量を間接推定できる可能性があることを示した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非破壊によりコンクリートの含水率を測定することで表面塩分量を推定する手法の構築のために,本研究では,コンクリート中の自由塩分が含水率の変化に及ぼす影響の把握とマルチスペクトル法によるコンクリート表面の含水率の測定方法の構築する. 現段階で,マルチスペクトル法によるコンクリート表面の含水率の測定方法の構築は完了しており,コンクリート中の自由塩分が含水率の変化に及ぼす影響の程度を確認する実測値の収集は完了している.この結果は,当初の計画計画と同程度の進捗状況であるため,研究はおおむね順調に進展しているといえる.
|
今後の研究の推進方策 |
研究の完遂のためには,実験で確認されたコンクリート中の自由塩分が含水率の変化に及ぼす影響を研究代表者の計算モデルにより表現できるか検証することと,構築した表面塩分量推定手法の精度検証を行う必要がある. そのため,まず,コンクリート中の自由塩分が含水率の変化に及ぼす影響の程度を確認する実験より取得したベンチマークデータの再現解析を行い,水分量より塩分量を推定する計算モデルの精度検証を行う.次に,本研究で構築した,非破壊による表面水分量の推定手法と水分量より塩分量を推定する計算モデルの組み合わせによる非破壊による表面塩分量の推定手法の精度検証を行う.精度検証を行うにあたり,塩分の供給条件が異なるコンクリート供試体を作成し,本研究で構築する手法が実際の表面塩分量との比較を行う.
|