2021年度は2020年度に実施した常温と低温での実験結果を考察し,支承と橋脚基部の時刻歴応答が同位相であること,フーリエスペクトルから固有振動解析結果の1次モードに最も近い振動数が卓越していることから,1次モードが卓越していることを確認した.さらに,支承の剛性は加振が進むにつれて低下するため,卓越振動数は固有振動解析の結果とは一致しないことを確認した.以上のように,本実験システムは仮動的実験であるため,リアルタイムでは実験できず,免震ゴム支承の速度依存性を考慮することはできないものの,その条件の下で,温度依存性を取り込んだ橋梁の地震時応答を求めることができた. 実験システムのリアルタイム化に向けて,加振能力の異なる載荷装置を用いて実験の所要時間を検討した.その結果,載荷装置の応答は加振能力によって早くなるが,載荷装置への命令を1つの値として送信しているため,載荷装置の応答を受信して,次の命令を送信するまでに載荷装置が止まっている時間があり,加振能力を向上させても止まっている時間を0にすることはできない.そこで,載荷装置に連続的に命令を送信できるようにプログラムを改良した.その結果,現在は構造計算に多くの時間がかかることから,リアルタイムでは実験できないが,載荷装置の加振が連続的に行えるようになった. また,構造計算に多くの時間を要するため,リアルタイム化を実現するには構造計算や通信にかかる時間を改善する必要があり,システムの改良を検討した.実験システムはMATLABで構築されているが,コードが最新版に対応しておらず,当初計画していたMATLABのGPU計算を用いたリアルタイム化は困難であることが明らかとなった.関連する既往の研究では実験システムに処理能力の高いデジタルシグナルプロセッサーを用いていることから既存の実験システムの解析プログラムをプロセッサーに書き込むことで所要時間の改善を目指す.
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