研究課題/領域番号 |
19K15071
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
竹谷 晃一 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特任講師 (70803526)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 橋梁 / B-WIM / 機械学習 / ニューラルネットワーク / 加速度積分 / 振動応答 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き,橋梁の加速度応答から通行車の重量および影響線を推定するシステムの構築を進めた.とくに路線バスなど常時走行する車両を利用することで,B-WIMで必要な「影響線の推定と補正」を行うセルフキャリブレーション機能の構築を行った.これまでに検討した機械学習を用いた「車両識別」に加えて,車両通行時のたわみ応答の形状から路線バスを識別する方法の構築を進めた.対象橋梁では路線バスは大きく2種類走行しており,たわみ応答の時刻歴波形の形状の一致度を利用する古典的な方法を導入することでこれまで未分類とされていた車両についても分類することが可能となった. 橋梁のたわみ応答は一般的には直接計測することが難しいことから,加速度データを積分する方法の検討を進めた.本研究で使用している低周波における自己ノイズが小さい高精度加速度センサを利用し,複数のフィルターを組み合わせた基線補正によるデジタル信号処理によって数十umレベルの精度を実現した.簡易なフィルターを並列に組み合わせて結果を統合することで,感度が低いとされる主桁の振動応答から車両の入退出時刻を的確に取得することが可能となり,基線補正の精度を高めることが可能となった. 主桁の影響線の推定を進める過程で気温の影響を受ける可能性が考えられたため,新たに気温の影響分析を進めた.気温が異なるデータを取得するため,これまでに計測はしていたものの分析していなかったデータについて整理・分析を行った.その結果,十数℃程度の変化においては主桁の影響線は気温の影響がほとんど見られないことが示唆された. 得られた研究成果については,オンラインではあるものの国内外での学会発表と論文投稿を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響で新たな計測環境を整えることは叶わなかったが,これまでに計測したデータを活用し,これまで分析していなかったデータについて学生とともに地道に整理と分析を進めた.特にデータの追加・再整理を行うことで気温の影響について分析を進めることができた.加速度積分によるたわみ応答の推定については,複数のフィルターと補正を用いることで一定の成果が得られている.研究成果ついては,予定した学会がすべてオンラインとなってしまったが公表することができたため,おおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
気温の影響分析については,気温以外の影響を明確に整理できているとは言い難く,整理・分析を進めることを考えている. 通行車の重量推定および加速度積分によるたわみ応答の推定は高い精度を実現できているが,ほかの橋梁に適用する際の汎用性や課題点の考察を進めていく必要があると考えている.可能であれば新たな計測環境を整えて計測・分析を行うことを考えている. 研究成果の公開についても作業を進めており,国内外での学会発表と論文投稿を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で予定していた国内外の学会発表がすべてオンラインとなったこと.また,実験計測の目途が立たなかったため.次年度では新たに学会発表の参加と実験計測のための備品,出張費用等に使用する予定である.
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