研究課題/領域番号 |
19K15072
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
五井 良直 京都大学, 工学研究科, 助教 (30831359)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 異常検知 / 橋梁 / 振動計測 / ベイズ統計 |
研究実績の概要 |
本研究で目的とした異常検知技術について、当初対象としたI桁橋に加え、高速道路にて供用されている鋼箱桁橋や標識柱に応用し、有効性の検討を行った。特に標識柱においては 基部における鋼疲労損傷やボルトの緩み、アンカーボルトと基礎コンクリート間の付着力の喪失などの異常について、室内実験で再現し検出の性能が確認された。上記結果をもとに実構造物に設置された標識柱について損傷を模擬した付加質量を導入し、提案手法の有効性を確認した。同時に振動モードの詳細な検討を加え研究目的に沿って損傷と振動特性との対応付けを行っている。 当初予定していなかった研究の展開として、既往の振動計測のアプローチに加えて計測点数の少なさ、計測位置へのアプローチの容易さなど現場で要求される適用性の問題において提案手法の応用が期待される結果が得られた。すなわち、アクセスが困難な箇所での異常についても限られた計測点の振動から異常を検知できる可能性が見いだされた。この点については本研究課題終了後の展開が期待される。 以上のように2021年度においては室内実験の結果をもとにした実地での検証に着手している。しかしながら、コロナ禍の影響で活動が制限されることが多かったのが実情である。上記に関連してデータ転送の最適化に関する目的については移動の制限のために十分な検討ができていない。また上記成果の公表においても学術誌などへの発表が滞っている。このため当初の研究計画を延長し2022年度に残された課題に着手する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【研究実績の概要】に記した通り当初の予定を上回る応用範囲について検証が実施されているが、一方で移動の制限のために長期計測やデータ転送に関する課題には十分に対応できなかった。また、関連研究の学術誌への公表も遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、2021年度実施の異常検知の成果を踏まえ、長期的に計測されたデータの検証に移行する。またその検証を通じて効率的なデータ処理手順を提案する。提案した方法は昨年度までと同様適宜実橋梁での計測に適用し修正を施していく。 概ね2020-2021年度に実施がかなわなかった活動について、当初予定を後ろ倒しに実施する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による活動の制限のため研究活動に遅延が生じている。 特に、学生を動員する実験について実施されておらず予定した人件費の支出が無いままになっている。 次年度の使用に際しては当初の計画を踏襲して、未実施の発表・実験・物品購入などに充てる。予定が後ろ倒しになっている点以外には計画の変更を行わないつもりであるが、感染状況を考慮して適宜対応する。特に人件費・謝金については実験の実施可否を見極めて判断する。
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