3年のうち最初の2カ年で、本研究課題のメインの提案である大規模地震応答解析に適した弾塑性理論の構築を行った。これまでの要素が小さくなるにつれて、いくらでもひずみが局所化する理論ではなく、材料に特有のサイズで応力とひずみの関係を均質化して扱う弾塑性理論である。これにより、計算の収束性が確認できるため、検証可能な弾塑性理論となる。本理論について、具体的な定式化を実施した。さらに、ここで定式化した弾塑性理論の計算に適した非線形解析手法が必要であることを分析し、その定式化およびアルゴリズムの構築を行った。また、非線形解析手法の検証方法など、学会で発表している。 3年目は、材料特有のサイズを考える理論において、サイズが異なる材料の境界でのモデル化方法を考案した。具体的には、対象の節点の挙動を特定の節点の自由度で表現するMPCを活用し、仮想的な節点を設けて、それを介した接続を行うモデルを提案している。異なるサイズの材料の間で、変位や力が平均化されてやり取りされることを意図したモデルである。地盤とコンクリート間、コンクリートと鉄筋間の接続に適用する方法を考案した。実際の対象構造物について、モデル化および計算を実施した。 上記のように、3年間で新しい理論を提案し、その計算に必要となる計算手法も考案し、理論に適したモデル化手法の考案を行った。現状、実施した計算結果などを取りまとめるとともに、さらなる計算を行うことで検証・妥当性確認を行っている。今後、学会で発表するとともに本手法について議論を行う。
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