研究課題/領域番号 |
19K15080
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
吉野 裕貴 仙台高等専門学校, 総合工学科, 助教 (70756428)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 非構造部材 / 横座屈 / ラーメン骨組み / H形断面梁 / 柱梁接合部 |
研究実績の概要 |
【H形鋼梁による捩り曲げを受ける非構造部材の剛性及び非構造部材-梁の接合部拘束度の把握】2020年度は2019年度に行ったルーフデッキの取りつくH形鋼梁の捩り実験を有限要素法解析により再現した。載荷はじめの初期剛性(回転補剛剛性)及び最大荷重を明らかにし,パラメトリックスタディを行った。梁とルーフデッキ接合部の応力分布を把握した。 【縮小模型振動台実験による鉄骨構造物内の並列H形鋼梁の動座屈崩壊メカニズムの解明】2020年度は1層2スパンラーメン骨組みにおけるH形断面梁の動座屈実験を行った。その際,2019年度の知見をもとに,並列する梁断面が異なる場合の動座屈挙動を明らかにした。正弦波を与えることで,一方の梁が最大荷重に到達後,他方の梁によって荷重低下が緩やかになることを確認した。 【部分架構載荷実験による連続補剛H形鋼梁の横座屈に対する柱梁接合部及び連続補剛材の拘束効果】2020年度は梁1断面,柱2断面による骨組み内の柱梁接合部を模擬した試験体を製作し,部分架構載荷実験を行った。以下の結果を得た。 1)H形断面柱より箱形断面柱で材端拘束された梁の方が最大荷重は10%程度,無補剛より連続補剛された梁の方が最大荷重は5%程度上昇する.2)柱断面によらず,連続補剛された梁の方が無補剛の梁より捩れ変形が抑えられており,最大荷重までの回転角が1.7倍程度となる.3)屋根折板を梁の横座屈に対する連続補剛材とした場合,回転補剛剛性は理論値((5)式)の2%程度となる.4)3)の知見から理論値の2%の回転補剛剛性を代入した弾性横座屈モーメントMcrを(6)式の修正一般化細長比に適用することで,設計指針[3]の座屈曲線により,逆対称曲げモーメントを受け,反り拘束された連続補剛H形鋼梁の弾塑性横座屈耐力を概ね評価できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由;コロナ渦により実験スケジュールに3か月程度遅れたため。 【H形鋼梁による捩り曲げを受ける非構造部材の剛性及び非構造部材-梁の接合部拘束度の把握】本年度は実構造物に用いられるタイトフレームによる非構造部材-梁の接合部を再現したH形鋼梁の捩り実験を行い,実験より1)屋根折板の曲げモーメント分布, 2)接 合部の保有水平耐力,3)接合部まわりの水平及び回転剛性について理論値と実験値の違いを明らかにできた。 【縮小模型振動台実験による鉄骨構造物内の並列H形鋼梁の動座屈崩壊メカニズムの解明】 1年目は縮小模型実験装置を製作し,骨組み内の各部材に生じる応力分布を把握できた。
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今後の研究の推進方策 |
【H形鋼梁による捩り曲げを受ける非構造部材の剛性及び非構造部材-梁の接合部拘束度の把】2021年度は捩り実験を行い,非構造部材-梁接合部の理論値と実験値の回転拘束度の違いについて明らかにし,現状の非構造部材の保有性能は把握できた。一方 で,梁の横座屈拘束材として活用するための要求性能を満たす拘束方法として補強金具を用いた捩り実験を行う。その際,施工上の観点から,補強金具を最小限 に抑えるために補剛間隔についても明らかにする。【縮小模型振動台実験による鉄骨構造物内の並列H形鋼梁の動座屈崩壊メカニズムの解明】並列梁による1層2スパンラーメン骨組みの縮小模型実験を行い,骨組み内の梁の応力分布を確認した。今後,有限要素法解析により骨組み全体の動座屈現象を再現し,動座屈による梁の横座屈耐力の低下率や塑性変形性能を把握する。さらに,本研究で提案する非構造部材-梁接合部の 拘束度及び塑性化する非構造部材の補剛剛性を考慮した架構全体の解析モデルを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦により,予定していた実験スケジュールが遅延となったため。 (今年度,実施していない実験を早急に行い,その結果を考慮して,使用していく予定)
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