研究実績の概要 |
2020年度は計画通り3系統の実験を行った。 シリーズ1:粒径0.85~2mmを主体とする砂と泥岩粒子を混合し、泥岩含有率Mc(重量比)=0,2,5,10,20,30,50%の試料を用いた。間隙比一定の供試体を作製し、乾燥状態のまま圧密した後、S波速度の計測と軸ひずみ両振幅0.001%程度の微小繰返し載荷を行うことで剛性を評価した。その後、通水を実施し同様な手法で剛性を評価した上で、三軸液状化試験を行った。その結果、①Mcの増加に伴って剛性が低下する傾向にある、②Mcの増加に伴って通水後の間隙比は著しく小さくなるにも関わらず、通水後の剛性は通水前よりも低下する、③Mc=2%でも液状化に達するまでの繰返し回数Ncは極端に少なくなり、Mc=10~20%にてNcが最少となり、Mc≧30%ではNcが増加する傾向にあることを明らかにした。 シリーズ2:昨年度に立てた仮説を検証するため、シリーズ1と同じ条件下でMc=100%の供試体を作製し、含水状態を変化させた上で排水三軸圧縮試験を行った。その結果、飽和供試体は通水により間隙比が著しく小さくなったにも関わらずその強度は乾燥状態の約0.8倍であった。これにより、泥岩粒子が水を含むことで脆弱化し荷重伝達が十分にできなくなることを証明した。 シリーズ3:スレーキングに伴う骨格構造の劣化メカニズムを明らかにするため、直径3~4mmのガラスビーズと泥岩粒子を混合したMc=0,20,40,60,80,100%の試料を用いて、アクリル円筒内に間隙比一定の供試体を作製し、一次元圧縮条件下で乾湿繰返し作用を与えた。各作用の終了後には微小繰返し載荷により剛性を評価した。その結果、泥岩粒子を含む供試体では、剛性が浸水時に低下し乾燥時に多少回復する傾向にあった。同様な傾向を三軸試験条件下でも確認した。また、スレーキングに伴う泥岩粒子の細粒化過程を視覚的に確認した。
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