研究課題/領域番号 |
19K15088
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
小野 耕平 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (30804166)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 埋設管路 / 液状化 / 耐震 / 地下水位 / 遠心模型実験 |
研究実績の概要 |
液状化の発生に伴い,埋設管路の被害率は上昇することが知られているものの,膨大な延長を誇る管路網の耐震対策はあまり進んでいない。特に,東北地方太平洋沖地震では,関東から東北地方にかけて非常に広範囲で液状化が発生したため,その被災パターンも様々であり,従来の設計実務や対策が実態を正確に反映しているとはいえない現状が明らかとなった。その中でも,これまで液状化対策の要否の検討を必要としなかった地下水位以浅に埋設された管路が,下層地盤の液状化に伴って被災した事例が多数報告されており,実態に即した適切な対応が求められている。そこで,本研究課題は,地下水位以浅に埋設された管路の新たな液状化被害メカニズムの解明を行うとともに,合理的な安定性評価手法を提案することを目的とする。 埋設構造物の地震時挙動は地盤の拘束圧に強く影響を受けるため,原型スケールの応力レベルを再現可能な遠心力場において模型実験を実施した。幅430 mmの剛土槽内に,口径20 mmの模型管(原型スケールで0.8 m)と各種計測器を設置しながら,豊浦砂を用いて目緩詰め地盤を作製し,水の40倍の粘性を有するメトローズ水溶液で飽和させた。遠心加速度を40 gまで上昇させた後,土槽の両側面に接続したソレノイドバルブを開放することで,重力排水によって水位を管底部まで低下させた。その後,原型スケールで加速度150 gal,卓越振動数0.75 Hzの正弦波を40 s間入力し,液状化を発生させた。 初年度は,以下の点について模型実験で検証を行った。①液状化に伴う埋設管の鉛直変位挙動を,液状化発生過程とその後の水圧消散過程に分類して検証し,両者ともに特徴的な挙動を観測した。②見かけの密度が異なる模型管を用いて,上記の挙動に対する影響を調べた。③模型管の土被り厚を変化させた実験を行い,拘束圧が鉛直変位挙動に与える影響について検証した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は,実験棟および実験装置の改修に伴って,本格的な実験に着手するために時間を要したものの,予定していた単純な2次元モデルの模型実験を概ね予定通り実施することができた。基本的特性の理解が進み,次年度の模型実験にスムーズに着手できる状態となった。
|
今後の研究の推進方策 |
令和2年度は,前年度に引き続いて模型実験を進める予定である。得られた実験データから,液状化発生後の地盤の体積変化と埋設管の変位を関連付けた評価手法の提案に取り組む。
|
次年度使用額が生じた理由 |
大学実験棟の改修の遅れに伴い,実験の開始時期が想定よりも遅れた。想定していた一部の実験ケースの実施を翌年に繰り越したため,次年度使用額が生じた。
|