研究課題/領域番号 |
19K15093
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
中村 圭太 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 研究官 (00827347)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 土壌汚染 / 連続体 / 剛体 / 接触問題 / NAPL |
研究実績の概要 |
石油や揮発性有機化合物などの非水溶性液体(NAPL)は、地中で複雑な多相の流れを形成して土壌汚染を引き起こす。このようなNAPLによる土壌汚染問題では、土壌の汚染形態を正確に把握し、適切な対策方法を選定する必要があるが、原位置調査や過去の経験に基づいた対策だけでは不十分なため、水-NAPL-空気 3相の浸透解析手法の援用が必須となる。土壌汚染を水-NAPL-空気3相の浸透解析で検討する際は、土粒子間隙における3相の圧力-飽和度関係のモデル化が計算の信頼性を左右する。圧力-飽和度のモデル化にはLeverettの理論が広く用いられてきたが、NAPLの種類などの条件によっては適用出来ず、地盤内のNAPLの残留量を過小評価する問題が指摘されている。本研究では、Leverettの理論の適用 限界を克服した新たな理論を提案し、それに立脚した精緻な土壌汚染解析技術の開発を目的とする。 本研究では,当初「土粒子間隙においてNAPLが孤立するメカニズム」と「NAPLの界面張力の違いが及ぼす影響」について実験的に明らかにするために,X線CTスキャンを用いて実際の多孔質体を3Dプリントしたクローン多孔質体を供試体として用いることを予定していたが,より理論的なアプローチを行うために,数値解析により検証を行うよう計画を変更した。具体的には,連続体(流体を含む)と剛体(土粒子を想定)の接触問題を精緻に解く解析手法を開発することで,土粒子間隙中におけるNAPLの移動機構を数値解析により明らかにする。当該年度では,連続体の大変形問題を解くことが可能なMPM(Material Point Method)を用いて,これまで精緻に解くことができなかった剛体との接触問題を正しく解く新たなアルゴリズムを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,当初「土粒子間隙においてNAPLが孤立するメカニズム」と「NAPLの界面張力の違いが及ぼす影響」について実験的に明らかにするために,X線CTスキャンを用いて実際の多孔質体を3Dプリントしたクローン多孔質体を供試体として用いることを予定していたが,より理論的なアプローチを行うために,数値解析により検証を行うよう計画を変更した。具体的には,連続体(流体を含む)と剛体(土粒子を想定)の接触問題を精緻に解く解析手法を開発することで,土粒子間隙中におけるNAPLの移動機構を数値解析により明らかにする。当該年度では,連続体の大変形問題を解くことが可能なMPM(Material Point Method)を用いて,これまで精緻に解くことができなかった剛体との接触問題を正しく解く新たなアルゴリズムを開発した。開発した数値解析手法では,最新の研究で用いられる移動最小二乗法を近似法として適用することで,安定性と精度を兼ね備えた数値計算が実現された。また,接触問題では,既往の手法の問題点を克服した新たな接触解析法を考案し,数値解析プログラムに実装した。いくつかの理論値計算を行い,開発したアルゴリズムの妥当性検証を行った。
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今後の研究の推進方策 |
開発した数値解析手法は,連続体に適応可能な数値解析手法であるが,流体などの体積変化が生じない物質に対しては,体積圧縮係数が無限大に近くなることから,計算精度がやや不安定になることがある。そこで,今後はそのような非圧縮流体にも適用可能な数値解析手法を開発する。具体的な手法としては,B-bar法や圧力pも未知数として解くu-p混合定式化などがあるが,これらの手法の妥当性については研究を進める中で適宜吟味する。 本研究が達成されれば,研究の目的である「土粒子間隙においてNAPLが孤立するメカニズム」と「NAPLの界面張力の違いが及ぼす影響」を数値解析的に検証可能になるだけでなく,連続体(金属,地盤等)の大変形を含む,剛体との接触問題について精緻に解析可能となる。
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