研究課題
最終年度はGPU並列計算技術で超大規模デジタル岩石シミュレーターを構築した。スパコン高性能演算を駆使し、実験では時間的・コスト面から実現が困難あるいは不可能な条件下の異なる岩石種類における低濃度塩水攻法シナリオを容易に再現することができた。開発した低濃度塩水攻法シミュレーターを応用し、原油回収率向上のためのパラメータスタディを行った。具体的には超大規模実岩石X線CTモデルで、低濃度塩水環境下油挙動のシミュレーションを行い、流体の物性(粘性、密度、イオン濃度)、岩石間隙の形状(大きさ、分布)、濡れ特性(ウェッタビリティ)に代表される岩石の性質、水圧入速度、界面張力等のパラメータが原油回収率に与える影響を数値解析で調査した。ミクロスケールにおける鉱物界面と油が低濃度塩水環境下での相互作用をマクロ的な濡れ性変化モデルを取り入れることで、油拡散層がない場合、特定のウェッタビリティ条件下では、毛細管数の増加によって油の回収が促進される現象が確認できた。また、粘性比(M)と毛細管数(Ca)の相対浸透率の影響を調査し、CaとMのダイアグラムを作成し、原油の流動性を正確に評価することが可能となった。塩水濃度と浸透率の関係を明らかにし、最適な低濃度塩水攻法の条件を解明した。本研究で得られた知見は実際のフィールドスケールの貯留層解析へ応用することが可能で、現場の低濃度塩水攻法の石油生産挙動の予測に貢献できると考えられる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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