研究課題/領域番号 |
19K15112
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 優介 京都大学, 工学研究科, 助教 (20713556)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ウォーカビリティ / 街路空間 / 歩行活動 / 環境要因 / 地理情報システム / 跡地利用 |
研究実績の概要 |
本研究では、歩行活動を促進する環境全般を含む概念であるWalkabilityに着目し、地理的環境変数によりその特性を総合的に把握できるWalkability Index(WI)を用いて、歩行空間整備の効果を評価しうる手法を開発する。具体的には次の2点を実施し、各手法の有効性を検証する。(1) 地理情報システム(GIS)を用いて、歩行空間整備前後の近隣のWIの変化を把握できる解析手法を提示し、国内外の事例に適用する。(2) Walkability Indexの構成要素に関して、アンケート調査で得た居住者の歩行活動量データを用いて解析を行い、街路の空間構成や空間の質を評価可能な指標を開発する。 (1)に関しては、メッシュ化により歩行空間周辺の詳細なWI分布を把握する提案手法を国内の歩行空間4事例に適用した。GISによる分析を通して、「WIの高い山を結ぶような歩行空間の整備が、近隣のWalkabilityの向上や賑わい創出の上で有効である」という研究代表者らの仮説を支持する結果が得られた。 (2)に関しては、街路の構造特性と沿道特性を指標化してWIの構成要素に組み込み、歩行活動量データを用いて回帰分析を行うことで、モデルの街路の空間構成を考慮したWIを構築しうることを提示した。また歩行空間整備前後の2時期の歩行活動量に対して回帰分析を行うことで、従来のWIの分析手法を用いて歩行空間整備前後の状況を評価する分析枠組みを明らかにするとともに、歩行空間整備によってWIが変化するメカニズムを明確化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究内容(1)に関しては、周辺環境に対する効果を判断する方法に課題が残されているものの、仮説を支持する結果が得られている。また研究内容(2)に関しては、考慮している街路の特性については未だ限定的ではあるものの、当初の計画通り、新たなWIの構成要素の開発を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
おおよそ当初の研究計画の通りであるが、上記の研究内容(1)に関しては、改めて構成要素の候補や重み付けについて検討を行うとともに、特に日本の事例における効果の発現の仕方について分析を行う。研究内容(2)に関しては、空間の質にまで踏み込んだ指標化を試みるとともに、街路の空間構成(ネットワーク構造)の指標化と分析を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文掲載料に想定よりも費用を要したこと、次年度に実施予定の解析内容(街路の空間構成(ネットワーク構造)の指標化と分析)に、今年度よりも計算機の性能が求められることなどを勘案し、ワークステーションの導入を次年度に繰り越した。次年度経費と合わせて導入を計画している。
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