研究課題/領域番号 |
19K15114
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
玉置 哲也 香川大学, 創造工学部, 講師 (10820053)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 気候変動 / 持続可能な開発 / 人口減少社会 / 主観的幸福度 |
研究実績の概要 |
本研究では,人口減少下にある日本において行われるべき温暖化対策を明らかにすることを目的としてる.当初の計画において本年度は,モデル開発によるシナリオ作成及びアンケートの実施を行う予定であった.そこで,一昨年度,世界的な目標である2度目標や1.5度目標を達成するために日本において実施すべき二酸化炭素削減レベルを明らかにしたことに加え,本年度は二酸化炭素排出状況とその地域の生産性から見た県毎の効率性を明らかにし,シナリオ作成の補強を行った.その結果は国際学術誌Economic Analysis and Policyに掲載された. 加えて,本年度はCOVID-19の世界的蔓延という不測の事態も発生したため,アンケート調査を前倒しで実施し,特に本研究で着目する「人的資本」に対して大きな影響をもたらすであろう主観的幸福度の調査を行った.研究提案時には予測できなかったコロナ禍という状況であるが,発生の初期段階(2020年4月-6月)だけでなく,2021年2月-4月にも追跡調査を行うことで,コロナ禍の影響および緊急事態宣言といった外的要因の影響を時系列的に把握できるようアンケートデザインを工夫している.これらのアンケートはすでに実施を終えており,現在分析中である.分析の結果,申請者を含む研究グループが2015年に行った幸福度調査と比較しても純粋な幸福度の低下が明らかになっており,職業や年齢別にその差が大きく異なることがわかっている. 現在,これらの分析結果をもとに執筆を行っており,今年度中に投稿予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定において1年目,2年目で開発予定であったモデルは概ね完成しており,また,COVID-19の影響で予定よりアンケート調査の規模が大きくなっているものの順調に実施を終え分析を行えている.特に進捗に遅れは生じていない.
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今後の研究の推進方策 |
既に5回の追跡調査を含むアンケート調査を終えており,COVID-19という未曽有の社会情勢の変化がもたらした人的資本への影響を主観的幸福度の側面から評価するための準備が整っている.このコロナ禍と言われる事態は,我々の生活に多大なる影響を及ぼしており,本研究で評価する人的資本への影響は看過できないものである.そのため,事前の予定よりも大規模かつ長期間のアンケート調査を実施した.この大幅な生活様式の変化や自粛,規制の影響を慎重に分析することは,単体の研究分析としてだけでなく最終的な研究成果の統合時においても重要な意味をもたらすため,最優先して実施する必要があると考えている. 現時点で本研究の遂行にあたり特段の遅れは生じていないが,時代に則した最終成果を示すためにも,ここで集めることのできた貴重なアンケートデータを精査することに当初の予定よりも多くの時間をかける必要があると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はCOVID-19の世界的蔓延により,国際学会を目的とした移動をはじめ国内においても移動に伴う出費が発生しなかった.そのため,次年度使用額が生じている.そこで,本研究では分析環境の向上及びアンケート調査の強化に使用することを検討しており,2021年1月から3月において更なる追跡アンケート調査を実施する予定であった.しかしながら,緊急事態宣言のタイミングなど,アンケートへの影響が考えられる事態が発生したため2021年4月にまで一部アンケートの実施を延期したので,次年度使用額が大きく発生している. 既にこのアンケートは実施されており,実質上の大幅な繰り越しは発生していない.
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