(1)走行挙動調査:ラウンドアバウトの幾何構造条件から走行挙動を推定するためのモデリングに必要なパラメータの精度向上を目的とした調査を幾何構造等の特徴が異なる3箇所のラウンドアバウト(静岡県焼津市、福岡県宗像市、京都府南丹市)において実施した。調査においては、ラウンドアバウトを通行する際の流入から流出までの挙動を連続的に観測するため、無人航空機(UAV)による撮影を実施した。 (2)走行挙動のモデリング:(1)で撮影した上空からの動画をもとに、画像解析ソフトを使用して、走行位置や速度といった基本的な挙動データを取得し、幾何構造と走行挙動の関係性を分析した。ラウンドアバウトを通過する際のS字の走行軌跡を直線・クロソイド・円弧の組合せとして表現し、走行挙動データから走行軌跡に関するパラメータを推定することで走行挙動のモデリングを行った。 (3)安全性能評価指標の検討:ラウンドアバウトにおける衝突の起きやすさと、仮に衝突したときの危害の程度の両方を考慮したリスク指標を提案した。リスク指標の算出のため、与えられた幾何構造条件から流入車両と環道車両が交錯する位置を推定し,さらに交錯位置を通過する際の速度と交錯位置に至るまでの軌跡を(2)の走行挙動モデルから推定し、20000通りの数値シミュレーションにより様々な幾何構造条件におけるリスク指標を算出することで幾何構造との関係を回帰モデルにより定式化した。 (4)幾何構造評価ツールの開発:(3)で構築したモデルをベースとして、Microsoft officeのEXCEL VBAにより幾何構造条件に応じて走行軌跡を図面上に描画するシートを作成するとともに、主要な幾何構造条件を入力することでリスク指標を算出する入力フォームを試作した。
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