当初3年間で完了する予定であった当該研究は,4件の海外調査を実施する計画を立ており,初年度は計画通りに2件の海外調査を実施した.しかし,2年目以降は新型コロナウイルス感染症の影響により,残り2件の海外調査をなかなか実施することができず,延期の繰り返しを余儀なくされ,研究計画が大きく乱れてしまった.ようやく4年目の後半に残り2件の海外調査を何とか実施することができたが,それらの結果を考察するための時間までは確保することができなかった.最終年度は,主に前年度に実施した海外調査結果を考察するとともに,当該研究で得た知見を学術論文として投稿し受理された. 研究期間全体を通じては,加古川流域,淡路島,吉野川流域において,土地利用・水害・各主要施設等に関する地理空間情報及び統計データを,GISを用いて水害リスク及び土地の利便性に関して総合的に評価することにより,グリーンインフラの設置適地の抽出を試みた.そして,流域・地域間の比較・評価により,水循環基本法に即した新たな土地利用計画手法を考案した. また,1)イタリア南部シチリア島,マルタ共和国,ポルトガルにおける自然原理に基づき設計された集雨・保雨・配雨技術,2) 米国ニューヨークシティの既成市街地空間における雨水マネジメントを目的としたグリーンインフラの整備手法,3)ドイツのフランクフルトとベルリンにおける最先端のグリーンインフラの実装事例,に関して現地調査を実施した.日本の既成市街地においてグリーンインフラを整備していく際の示唆を得ることができた.
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