研究課題/領域番号 |
19K15136
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
寺西 正輝 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (80798322)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 材料構成則 / リターンマッピングアルゴリズム / 順伝播型ニューラルネットワーク / 多軸応力場 / 非線形硬化則 |
研究実績の概要 |
R1年度は,リカレントニューラルネットワークの材料構成則の適用性について検討を行った.また,リカレントニューラルネットワークの学習時の欠点について,検討を行い,その解決策として,リターンマッピングアルゴリズムの計算の一部を,順伝播型ニューラルネットワークで代用する手法にを提案した. 1. 「ニューラルネットワークを援用したリターンマッピングアルゴリズムによる材料構成則の応力計算法」という題名で,日本建築学会構造系論文集に投稿を行い,現在,査読中である.この論文では,一軸応力場において,リターンマッピングアルゴリズムの計算の一部を順伝播型ニューラルネットワークで援用する手法を提案した.リターンマッピングアルゴリズムと提案手法の計算結果を比較し,提案手法がニューラルネットワークの学習範囲外でも高い計算精度を有することを示した.リターンマッピングアルゴリズムと提案手法の計算負荷の比較を行い,提案手法が高い計算効率を有していることを示した.なお,この研究を遂行するにあたり,計算結果を保存するための内蔵ハードディスクおよび,ニューラルネットワークを構築するために計算技術言語Matlabのライセンスを購入した. 2. 「ニューラルネットワークを用いた多軸応力下での材料構成則の応力計算 その1 応力計算手順の概要」「ニューラルネットワークを用いた多軸応力下での材料構成則の応力計算 その2 数値解析例」をR2年度日本建築学会全国大会にて,発表する.この発表では,1.の手法を多軸応力場に展開している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当初は, R1年度はリカレントニューラルネットワークを既往の材料構成則と組合せ,数値解析結果を通して妥当性を検討する予定であった.その中で,全ひずみ,過去の内部変数を入力値とし,応力,過去の内部変数を出力値としたリカレントニューラルネットワークを構築し,計算を行う予定であった.しかし,検討を進め行く上で,リカレントニューラルネットワークでは,膨大な訓練データが必要であること,また,学習範囲外では学習済みニューラルネットワークの精度が著しく低下することが明らかとなった.そこで,研究計画の軌道を修正し,リターンマッピングアルゴリズムの計算において,計算負荷が大きい部分のみを順伝播型ニューラルネットワークで援用する手法を開発した.試行錯誤の末,入力値を降伏関数の試行値,出力値を塑性ひずみ増分とし,ニューラルネットワークを構築した. 提案手法とリターンマッピングアルゴリズムの計算時間および解析結果を比較することにより,計算負荷および解析精度について検討を行った.一軸応力場では,リターンマッピングアルゴリズムの計算時間に比べ,提案手法により計算時間は約62%低減された.また,多軸応力場では,提案手法により計算時間が約80%低減された.さらに,テストデータを用いて,提案手法の学習範囲外の精度について検討したところ,テストデータが訓練データの最大入力値を2倍超えた場合でも,誤差は6%程度であり,提案手法が高い汎化性能を有していることを確認した.以上より,当初の研究計画とは多少の変更があったが,本研究は概ね順調に進行しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り,R2年度は,R1年度に提案したモデルにおいて,適切な学習回数,学習経路等について検討する.なお,学習経路と計算精度の関係については,様々な負荷経路に対して検討を行う予定である.また,学習回数については,様々な最適化アルゴリズムについて検討を行い,より適切なアルゴリズムを試行錯誤により調査する予定である.なお,これらの検討には,膨大な解析パターンを試す必要があるため,高性能ワークステーションを計算資源として購入し,使用する.
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