中低層鋼構造建物に広く用いられる露出柱脚の曲げモーメントに対する弾性剛性を検討するために,鋼製ベースプレートの寸法・アンカーボルトの本数と配置を変数とした有限要素法解析および載荷実験を実施した.現在広く用いられている弾性剛性の算定式はアンカーボルトの伸び変形に重きを置いて立式されており,実験結果との対応をふまえて係数が定められた実験式となっている.しかし,この実験式の提案者自身も言及しているとおり,鋼製ベースプレートの面外変形が弾性剛性に影響することが本研究の解析や実験により確認された. そこで本研究では,[1]圧縮側ベースプレートの面外変形と基礎コンクリートの支圧変形を弾性床上梁理論に準じて構築した連続軸ばねモデルにより,[2]引張側ベースプレートの面外変形とアンカーボルトの伸び変形を既往の文献を参照して構築した交差梁モデルによりそれぞれモデル化し,弾性剛性の算定式を構築した.その結果,構築した算定式の方が,現在広く用いられている算定式よりも弾性剛性解析値に近い結果が得られた. 上記[1]の検討で超越関数を使用したため提案した弾性剛性算定式は既往のものに比べ複雑ではあるが,算定式そのものは陽関数であり,露出柱脚の実用の範囲を考えて算定式を近似することで算定式の簡便化が可能となっている.また,上記[2]の検討は構造力学で広く用いられている片持ち梁を組み合わせたものであり,アンカーボルトの本数や配置が変化した場合にも剛性算定式への反映が容易となっている.さらに,一部が陰関数となってしまうが本検討での算定式は軸力が作用する場合にも対応している.この算定式を用いることで,とくに1層の応答への影響が大きいとされている柱脚の弾性剛性をより高い精度で算定することが可能となった.
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