研究課題/領域番号 |
19K15144
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研究機関 | 国立研究開発法人建築研究所 |
研究代表者 |
中島 昌一 国立研究開発法人建築研究所, 構造研究グループ, 主任研究員 (90734210)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | CLT / 接合部 / ドリフトピン / 集合型せん断破壊 |
研究実績の概要 |
CLTパネルを用いた混構造の各種接合部の設計法の確立を大きな目的として、ここでは、CLTパネル端部にドリフトピンを用いた接合部について、代表者らが提案している降伏理論に基づく降伏耐力の計算法、集合型せん断破壊を考慮した終局耐力の計算法、弾性床上の梁理論に基づく初期剛性の計算法の妥当性を検証するための壁脚部のモーメント抵抗実験を実施した。 試験体は、S60-5-5のCLTパネル、SS400-φ16L160のドリフトピン、t9の挿入鋼板で構成される。ドリフトピンの本数は6本とし、パラメータはドリフトピン配列(2x3、3x2、6×1)や間隔(2d、3d、5d、8d、dはドリフトピン径)とした。S造やRC造の耐力碧としてCLTパネルが使用されることを想定し、幅1mのCLTパネルの脚部に接合部を設け、壁の中立軸比を0.5と考え、1.5mの高さに水平力を与えた。CLTパネルに与えられる水平力と接合部の鉛直力をロードセルで、CLTパネルの水平変位と脚部の回転変位を変位計で、 CLTパネルに生じる鉛直ひずみをひずみゲージで、CLTパネルに生じるせん断ひずみを画像相関法によってそれぞれ計測した。加力は単調載荷とした。 降伏耐力等の計算に用いるため、合わせてドリフトピンやCLTパネルの素材実験を実施した。 実験により、提案している降伏耐力、終局耐力、初期剛性の設計法の妥当性が確認された。破壊性状としては、部材のせん断破壊や引張破壊が確認された。また、接合部近傍に生じる鉛直ひずみ、せん断ひずみ分布が可視化された。 今後は、その他の層構成のCLTパネルヤ各種接合部についても設計法の妥当性の検証を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた実験を実施できた。実験により簡易的な方法で接合部の集合破壊を計算する方法が導かれた。
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今後の研究の推進方策 |
今回使用したS60-5-5のみならず、その他の接合具の径長比や、CLTパネルの層構成、樹種等についても適用可能かどうか、今後、検討を進める予定である。また、母材の強度を知るためのCLTパネルのせん断実験、引張実験を実施する予定である。
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