本年は遅れていた2019年度に収集した屋外拡声器のインパルス応答をたたみ込んだ音源での主観評価,マイクロホンアレイへの提案法の実装と外部発表を行った。まず,主観評価は3種類の拡声器の特性を親密度別音声了解度単語セットのFW07の高親密度リストと低親密度リストの二つを利用し,それぞれでSNRを複数設定して評価した。その結果,拡声環境の差よりも親密度差の方が了解度に大きく影響することがわかった。この結果より,非常時のアナウンス放送ではよく知られている単語で放送することが重要であることが明らかとなった。 マイクロホンアレイへの実装では,これまでに検討してきたスパースモデリング手法であるelastic netによるモデルを組み込み,ほぼリアルタイムで評価結果をフィードバックするシステムの開発に取り組んだ。特にRaspberry pi程度の小型コンピュータボードで実装できるように計算量を加減して開発したことで,すぐにでも社会実装できるようなモデルであると考えている。加えて,画面表示などのインタフェースも作成し,使い勝手の良いシステムになるように注意して開発をおこなった。最後に国際会議27th ICSAで前年度に取り組んだ深層学習によるモデルとスパースモデリングなどの手法の比較を発表した。
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