各自治体の庁舎の建替えが相次ぐなかで環境性能の向上が求められている。本研究では、異なる地域の複数の新庁舎建築を対象とし、「自治体の求める環境性能」、「設計時の環境性能目標及び環境配慮手法の傾向」、そして「環境性能目標と環境配慮手法についての計画時と竣工時の差異や導入手法の効果」を明らかにすることを目的とした。 2019年度は、「自治体の求める環境性能」、「設計時の環境性能目標及び環境配慮手法の傾向」に関して、新庁舎建築の環境配慮手法及び環境性能を、計画時と竣工時とで比較分類した。 2020年度については、「環境性能目標と環境配慮手法についての計画時と竣工時の差異や導入手法の効果」に関して、特に、環境配慮手法建築的手法についての導入効果を、新庁舎建築の竣工時の空間構成の特徴(敷地内及び執務室の配置)から検討した。 2021年度と2022年度については、これまでの調査で明らかになった、環境配慮手法と環境性能について、建物形状や空間計画との関係を分析し、環境性能への影響を検討した。 これらの成果は、複数地域の最新庁舎建築における空間的特徴を明らかにするものであり、今後の庁舎建替えの際の自治体側及び設計者の指針や設計方針決定における一助となるものと考えられる。 2019年度の成果の一部は、2020年度日本建築学会大会学術講演会および令和2年度空気調和・衛生工学会大会において発表した。2020年度の成果は2021年度日本建築学会大会学術講演会、令和3年度空気調和・衛生工学会大会において発表した。2021年度と2022年度の成果は2023年度日本建築学会論文集への投稿を行う予定である。
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