研究課題/領域番号 |
19K15148
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鵜飼 真貴子 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (90813189)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | デシカント空調機 / 冷温同時取出GHP / 井水の直接利用 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年の室内負荷(顕熱、潜熱)の割合の変化、さらに地球温暖化による義気負荷の増加を背景に、デシカント空調機による湿度処理に着目したものである。本年度は、GHP排熱を活用したデシカント空調機の実性能の分析及び自然エネルギーの活用として、井水の直接利用に関するシミュレーションによる検討を実施した。 GHP排熱を活用したデシカント空調機の実性能については、東京のオフィスビルを対象にデシカント空調機内の挙動及び性能評価を実施した。また、GHPの冷水送水温度設定値を緩和した実測を行い、冷却コイル列数などの事前検討によりデシカント空調機内部への影響がないことを確認した上で、実測においても同様に冷水温度の緩和によるデシカント空調機内部への影響がない点、GHP自体の効率が向上した点を確認した。 また、井水の直接利用については、まず、井水の利用条件を整理した。各地の井水温度状況及び各都市で異なる井水の揚水上限値について過去の文献を調査した。次に、デシカント空調機が、外気負荷のみを処理する場合、外気負荷及び室内潜熱負荷を処理する場合の2パターンを考え、デシカント空調機内の温湿度状態を推定し、予冷コイル及び冷水コイルにおける井水の利用可否を検討した。代表都市として、東京・名古屋・大阪・福岡を検討したが、井水の揚水上限値が小さい東京においては、デシカント空調機で利用可能な井水量も限られるため、その効果は小さかった。一方、揚水上限値が大きい福岡においては、デシカント空調機で井水の直接利用の可能性が大きいことが分かった。これらについては、外調機の風量毎に、井水利用の依存率として整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、実測評価としては冷温同時取出GHPを活用したデシカント空調機を、シミュレーションとしてはデシカント空調機内の予冷・冷水コイルへの井水の直接利用における予備検討を実施した。 冷温同時取出GHPを活用したデシカント空調機においては、GHPの冷水出口温度を緩和してもデシカント空調機内部状態への影響がないことを予備検討により確認し、実測を行った。これらの検証フローや実測結果については、ジャーナル(Applied Thermal Engineering)に掲載された。 井水の直接利用については、地域差が大きいことから東京・名古屋・大阪・福岡を検討したが、外気条件による外気負荷の地域差よりも井水上限値による地域差が大きいことが明らかとなった。井水上限値が小さい地域においては、井水熱源HPなどの活用を検討するなどの井水の間接利用についても検討する必要性があり、今後の課題となった。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、デシカント空調機の種々の再生熱源・冷水熱源を検討し、そのエネルギー性能を明らかにしてきた。来年度は研究計画に沿って、室内環境評価を実施し、デシカント空調機の設計及び運転制御、評価に資する総合的なガイドラインを作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、室内環境を再現できるCFDソフトを購入する予定である。
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