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2020 年度 実施状況報告書

冬季の利用行動と都市空間意識を考慮した積雪寒冷都市の公共空間デザイン研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K15159
研究機関北海道大学

研究代表者

渡部 典大  北海道大学, 工学研究院, 助教 (80823400)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード積雪寒冷都市 / 屋外利用行動 / 公共空間 / オープンスペース / デザインガイドライン / 都心再開発 / 画像解析
研究実績の概要

2020年度は、公共空間における利用者の空間認識を分析を目的に、ソーシャルネットワーキングサービス・インスタグラムに投稿された写真画像の分析を行った。写真画像の分析には、機械学習の一手法である畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による転移学習によるクラスター分類を用いた。ロシア・ハバロフスク都心部にあるレーニン広場において「アイスタウン」のイベントを対象に、イベント時と平常時の写真画像分析結果を比較し、イベントに用いられた仮設空間要素と常設空間要素が広場利用者の空間認識に与える影響の違いについて、以下を明らかにした。
1)イベント時と平常時の相違点:冬季平常時に投稿された写真はわずか6%であるが、イベント時には20%に増加した。仮設空間要素では、クリスマスツリーのようなランドマークの影響が大きく、氷や雪で作られた像などの小規模要素の影響も確認された。常設空間要素では、歴史的建物と並木等の自然要素がイベント時と平常時共に利用者に大きな影響を与えた。
2)昼間と夜間の相違点:常設空間要素について、広場中央の噴水は平常時には数枚の写真しか確認されなかったが、イベント時夜間ではイルミネーションで強調され、約70枚に増加した。仮設空間要素について、雪像と氷像を比較すると昼間には大きな違いは見られなかったが、夜間には氷像の写真が多く見られた。これは照明の光が反射しより魅力的に見えたことが要因であると考えられ、積雪寒冷都市の仮設空間要素として照明の重要性が確認された。
積雪寒冷都市冬季の公共空間において、常設空間要素は平常時・イベント時に共通する「舞台」の役割として利用者に影響を与え、特に歴史的建物と自然要素の影響が大きい。仮設空間要素は、冬季の公共空間の魅力を向上させる効果が大きく、特に利用者が少ない夜間では照明の効果が大きく、常設空間要素との関係性を考慮したデザイン手法が重要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年度は、「冬季の利用行動と都市空間意識を考慮した積雪寒冷都市の公共空間デザイン研究」のうち、核心となる「公共空間に対する人の空間認識の分析手法」として、SNSに蓄積されたデータを分析し、複合的公共空間(常設空間と仮設空間)に対する空間認識の特徴を把握する手法を開発した。同様の手法を用いて他の積雪寒冷都市における複合的公共空間に対する空間認識の分析へと展開することが可能であり、想定の研究スケジュール通り順調に進展している。

今後の研究の推進方策

2019年度と2020年度の研究成果を受けて、2021年度は以下の調査研究を進める。
①複合的公共空間デザインと利用行動の関係:2020年度より継続して、積雪寒冷都市冬季の公共空間を対象に、日常時とイベント時の利用行動調査の比較を行い、建築物・植栽・ファニチャー・仮設物などの複合的公共空間デザインと利用行動の関係を明らかにする。
②複合的公共空間デザインと利用行動・空間認識の比較:冬季の公共空間に対して、2019年度に明らかにした利用行動分析の特徴と2020年度に明らかにした空間認識の特徴を比較し、公共空間デザインに対する利用行動と空間認識の関係性を明らかにする。
③積雪寒冷都市の屋外公共空間における空間デザインと屋外環境の特徴:本研究の基点となっている屋外公共空間の空間デザインと屋外環境の関係性を分析・整理し、利用行動と空間認識との関係性を明らかにする。
今後はこれらの結果より、積雪寒冷都市の屋外公共空間において冬季の屋外環境の悪影響を低減し、利用者の意識を惹きつけ、利用行動を促す望ましい公共空間デザイン要素を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルス感染拡大に伴い、公共空間調査の延期や学会大会参加のための出張中止により、2020年度の旅費等の支出がなくなったため次年度使用額が生じた。
2020年制限されていた調査解析を次年度行い使用する計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Temporary Design on Public Open Space for Improving the Pedestrian’s Perception Using Social Media Images in Winter Cities2020

    • 著者名/発表者名
      Paukaeva Anastasiia A.、Setoguchi Tsuyoshi、Watanabe Norihiro、Luchkova Vera I.
    • 雑誌名

      Sustainability

      巻: 12 ページ: 6062~6062

    • DOI

      10.3390/su12156062

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 積雪寒冷都市の屋外オープンスペースにおける冬季利用行動とデザインガイドラインの提案 積雪寒冷都市における都市デザイン その252020

    • 著者名/発表者名
      佐々木嵩, 瀬戸口剛, 渡部典大, 長谷川怜史
    • 学会等名
      日本建築学会
  • [学会発表] AI を用いたInstagram 投稿の解析による屋外オープンスペースの空間認知分析 - ビッグデータを用いた空間計画手法 その1 -2020

    • 著者名/発表者名
      長谷川怜史, 瀬戸口剛
    • 学会等名
      日本建築学会
  • [学会発表] Digital Urban Design Approach in Winter Cities.2020

    • 著者名/発表者名
      Norihiro Watanabe
    • 学会等名
      International Conference ARCTIC CITIES PLANNING AND DESIGN
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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