研究課題/領域番号 |
19K15162
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
井本 佐保里 日本大学, 理工学部, 助教 (40514609)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 子ども / 外遊び / 空間資源 / 子ども施設 / 公園 / COVID-19 |
研究実績の概要 |
災害後の子ども施設の再配置に関する研究を遂行した。当初予定していた自然災害に加え、COVID-19感染症拡大下における子どもの遊び場を調査対象に拡げ、緊急事態宣言下における外遊びの実態を明らかにすることで、被災中の空間的資源の再配置に関しての知見を得ることができた。 特に、公園や広場、児童館、学校・幼稚園・保育園などの子ども施設が有する校庭・園庭などが閉鎖されたことにより、どのように子どもの行動圏域の変化が生じたのかについて明らかにすることができた。調査対象世帯は大きく3つのグループに分けることができ、行動圏域が拡がったグループ、行動圏域に変化がみられないグループ、行動圏域が狭くなったグループがあった。特に行動圏域が狭くなったグループは、公園の駐車場の閉鎖や児童館の閉鎖などにより自宅近辺の公園のみに外出先を限定したり、自宅のみで過ごす世帯の存在も明らかになった。 また、こうした空間資源の閉鎖は、別の場所にさらなる過密な状況を作り出しており、一部の世帯はこうした状況から外遊びを行いにくくなり、子どもの外遊びの機会の担保が困難な状況が生まれていたことが分かった。子どもにとっての外遊びとは単なる娯楽ではなく、基本的な心身の発達において重要であるとの指摘もあり、今回のように公園を閉鎖することで子どもの外遊びのための空間資源を制限したことへの検証が重要であることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の発生により、調査対象を拡げたことで計画に変更が生じた。しかし、COVID-19という新しい形態の災害において、子どもの遊び場の再配置のあり方は非常に重要な視点であり、研究全体としては充分に進展したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、引き続き被災後の子ども施設の再配置に関する調査を遂行する。具体的には、東日本大震災後および熊本地震後の子ども施設の再配置に関するアンケート調査の分析を進める。また特に福島県については、原発事故により避難と帰還を行った施設について、期間後の状況について行政が発信する情報より実態を把握する。COVID-19感染症拡大により、インタビュー調査などの調査方法については再検討を要するため、アンケート調査および文献調査を主体とした方法へと転換していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の発生により、調査対象と方法に変更が生じたため、旅費は謝金に残額が生じ、次年度使用額が生じた。令和3年度は調査方法を再考した上で、アンケート調査や文献調査を中心としながら、物品費、調査協力者への謝金などを中心に支出していく予定である。
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