研究課題/領域番号 |
19K15166
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
矢吹 剣一 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 助教 (10837090)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人口減少 / 土地利用計画 / ダウンゾーニング / 合意形成 / 米国 |
研究実績の概要 |
本研究は、米国中西部から北東部に分布する人口減少都市を中心として導入が進む容積率の低減等を図る土地利用規制であるいわゆる「ダウンゾーニング(DZ)」の事例について、その実現に至った要因を明らかにするものである。 分析にあたっては計画手続き(住民参加と合意形成)および空間計画(土地の利用用途と空間的な規制内容)の2つの視点を設定している。 2019年度は主に文献調査(学術論文および自治体が公表している情報の収集)と、その分析・考察の作業を実施し、米国中西部(ミシガン州・オハイオ州)と北東部(ペンシルベニア州)における人口減少都市のダウンゾーニングの概況を把握した。土地利用規制条例(ゾーニング)の変更まで実施し人口減少へ対応している自治体は多くはないものの、規制の概要やそれと連動する空閑地(空き家・空き地)の荒廃対策の仕組みについて整理し、書籍・雑誌に発表した。 具体的には、深刻な人口減少が発生した場合には市場の減衰と土地の需要低下により容積率の低減は可能であることが把握できた。 ただし、人口減少地区における市民の居住については完全に制限を行うことは困難であり(合意形成が困難)、土地の区画統合を進めて地権者を減少させて管理を効率化することや、ランドバンクなどの公的機関による土地の維持管理などの仕組みが連携して機能することなど、規制単独ではなく土地利用政策として包括的なアプローチが重要であることが把握できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献調査や米国中西部の人口減少都市におけるダウンゾーニング(容積を減じる方向での土地利用規制条例の改定)の内容と計画手続きにおける論点や条例の改訂内容について、概要は把握することができた。 2020年3月、新型コロナウイルスの影響により外務省から渡航に関する注意喚起が発令され、中旬に予定していた米国調査(現地調査および自治体へのインタビュー調査等)の実施を延期したため、現地におけるインタビュー調査や土地利用の実態把握については遅れが生じている状況である(特に中西部や北東部以外におけるダウンゾーニング事例等の情報が乏しい)。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度については、インターネットを活用した情報収集(行政文書のレビュー)や電子メールおよび遠隔会議方式での行政担当者へのインタビュー調査を実施することでダウンゾーニングの実現要因に関する情報収集を実施していく。 特に中西部および北東部以外の事例について重点的に情報収集を行う。米国における現地調査の実施については、調査の対象地区の状況を踏まえて検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に予定していた米国における現地調査が新型コロナウィルス感染症の拡大により延期せざるを得なくなったため、2020年度に延期した。それに伴い、関係予算(旅費ほか)を繰り越すこととした。
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