研究課題/領域番号 |
19K15169
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
水谷 晃啓 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20709919)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | デザイン支援システム / 建築教育 / デジタルデザイン / 建築設計 / 椅子デザイン |
研究実績の概要 |
当初、本年度で主要な研究として計画していた所在地域が異なる複数のFab施設にて「体験型イスづくりWS」を行うための予備実験、そのFab施設で形成されるコミュニティに対する分析方法の検討は、コロナ禍の影響で実施することができなかった。その分、もう一つの重要課題であるデザイン支援システムおよびモノづくり支援手法の開発に時間を当て、昨年度の成果をより発展させて当初の目的を達成し、かつデザイン支援システムを操作するユーザー自身がシステムの一部をカスタマイズできるように開発した。結果として当初の計画よりも拡大したデザイン支援システムとモノづくり支援手法の開発を行うことができた。 より発展的な方法を用いて開発を行なったデザイン支援システムの可変性およびデザイン目的、デザイン行為にあった仕様へとユーザー自身が改変できるという利点の効果を明らかにするために以下の手順で実験を行なった。1. 紙とペンを用いてスケッチから椅子の側面図の作成を行う、2. その側面図をa.3DCADのインターフェースから入力するグループ、b.開発したスケッチ入力システムから入力するグループ に分け、それぞれのデザイン入力の再現性を比較する、 3. 再現性の比較に加えて各ユーザーへのアンケート調査からそれぞれの入力方法の特性比較によって評価を行いその課題点を明らかにする。この実験を通してわかったデザインツールとしての自由度を高めるシステムの利点と特徴を「yohaku」と定義し、ここでの考察結果とその可能性のについてまとめた論文を国際会議にて発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では複数の地域、施設を使って市民に対するワークショップを実験として行う予定であったが、コロナ禍の影響で移動の制限および活動抑制を受けたため実施ができなかった。大学内で実施可能な実験方法に切替え、またワークショップでの評価ではなく、学内の学生等を被験者とした実験に切り替えることで研究を継続した。複数の地域で計画していたワークショップにおいて明らかにしようと計画していた部分の研究は進まなかったものの、コロナ禍で実施・活動ができない分のエフォートを初年度に開発したデザイン支援システムの改良にあて、その評価を行うことができた。未曾有の事態の影響で遅れた点、実験方法を変えて進歩した点、これらを総合的に判断した結果、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響は未だ続いており、終息の見通しがつかない。本来の研究計画では仮実験を完了させ、本実験実施を予定していたが、コロナ禍における移動制限、活動抑制の解除なくして実施ができない性質の実験である。 終息の見通しがつかない中、このまま移動制限、活動抑制の解除を待つよりも、当初の予定通り進めることができたデザイン支援システムの開発過程において発見した関連課題を押し広げていくことの方が、当初の目的の達成ができ、実りある研究成果をあげることができると考えるに至った。このようなことから、複数の地域と施設で一般市民を対象にした実験を行うのではなく、大学生に向けたスクリプティングおよびデジタルファブリケーションの導入に向けた建築教育プログラムの開発を行い、Fab施設の機器の配置や空間特性との関係も対象としながら、その教育効果の評価を行う空間とを選択することにした。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍における移動制限、活動抑制があったことで、出張や出張を伴う実験が実施できず、コロナ禍が終息した後に実施するために出張費、実験費用の繰越を行ったため。
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