本研究では、日本の大阪市の主要な都市公園である天王寺公園の設置管理許可(IMP)に基づく公園更新プロジェクトから発展したパークマネジメント(PM)の成果について評価を試みた。天王寺公園におけるPMでは「ハード」と「ソフト」のタスクで構成されている中で、重要なランドマークとなる芝生広場(「てんしば」と称す)では、さまざまなサービス機能を備えた利便施設の建設を含む公園更新プロジェクトなどのプロセスとその空間特性が分析によって明らかにされた。PMのソフトタスクでは、清掃、セキュリティ、芝生/植栽の管理に加えて、てんしばで開催されたイベントなどのソフトタスクの詳細と結果も評価がなされた。てんしばへのIMPの導入によるPMの結果とその財務的効果は、アンケートによる公園利用者の特性、公園利用者への観察調査、実績のデータ分析の両方に基づいて評価が行われた。その結果、てんしばと類似した規模・歴史経緯を有するもIMPを導入していない都市公園である住吉公園との比較から、てんしばの主な利用者は若い女性であり、芝生広場での平均滞在時間は住吉公園よりも2分以上長く、より効果的な回遊性向上がみられた。これらの結果を総合すると、てんしばの経験に基づくPMに対するIMPの有効性が示唆された。また、公園の中央に広場を設置し、民間事業者による施設や様々なイベントを提供することで、事業としての収益性を担保することができ、これは将来のPMハードタスクに効果的であることが確認されたとともに、様々な継続的なソフトタスクの取り組みのための財源確保のために不可欠な基盤である。
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