研究課題/領域番号 |
19K15175
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
宗政 由桐 早稲田大学, 人間科学学術院, 講師(任期付) (90772690)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 複合施設 / 高齢者施設 / 子ども施設 / 多世代交流 |
研究実績の概要 |
昨年度実施した研究を展開し,特定の機能を想定した高齢者施設と子ども施設の複合施設の複合状況を調査し,環境要因を明らかにした. 継続された複合状況の居合わせを調査するため,具体的な対象施設としては,「入所系」高齢者施設と子ども施設とし,全国の高齢者施設80,000件程度と子ども施設50,000件程度を各自治体発表の資料から入手し,その位置や規模などをデータベースとして構築することに成功した.高齢者施設に関しては厚生労働省発表の資料,子ども施設に関しては各地方自治体からの資料である. その上で,GISを用いて全ての高齢者施設と子ども施設をプロットし,施設間距離が500m以内に立地しているものを幼老複合状況にあると想定し,それぞれの立地特性の検証,竣工年からみた幼老複合環境と施策の関係性を明らかにし,特に立地特性からは人口比で除した人口1人あたりの利用可能な幼老複合施設数を導出することで,大都市圏においてよりも,地方都市の方が幼老環境を構築しやすいことをデータを用いて実証した. また,東京都内において,過去に都から補助金を受けて幼老複合を実施していた施設へアンケート用紙を配布し,居合わせが発生した状況の聞き取りや,COVID-19前後における交流の変化などを調査した.有効解答率は35%ほどであったが,COVID-19を理由に多世代交流を中断している施設を除いては,ほぼ全ての施設で多世代交流を継続して行なっている状況が確認でき,多世代交流を推進するための要因や阻害要因などをまとめている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,昨年度の研究を踏まえ,幼老複合施設という具体的な施設における実地調査を展開し,モデルとの相違や問題点などを明らかにした.これらの成果は,日本建築学会(大会)における発表のほか,他学会においても発表を行なっている.以上の研究推進は,年度当初に想定し得た研究計画に沿って順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2022年度は,2021年度に引き続き実地調査を展開し,施設職員へのインタビュー内容から幼老複合環境の促進要因や阻害要因を明らかにする予定である.いまだ新型コロナウイルス感染症により実地調査を行える場所は限られているが,リモート環境でのインタビュー調査や受け入れ施設との調整により,複合施設構築の最適化モデルを導出したい.また,得られた成果の学会報告・論文投稿も積極的に行なっていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大により,当初想定していた国際会議への参加がかなわず,旅費・宿泊費に関しては使用できていない状況である.また,国内調査や国内学会での発表に関しても,基本的にはリモート開催となり,旅費・宿泊費の使用がないため,2021年度に関しては研究費の使用が当初計画していたものよりも大幅に少なくなり,次年度使用額が生じた.2022年度は,今般の状況を踏まえ,実地調査が可能な施設等を早急に調べ,調査費用や備品購入を行う予定である.
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