研究課題/領域番号 |
19K15178
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高嶺 翔太 早稲田大学, 重点領域研究機構, 研究助手 (20788559)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | まちなかの居場所づくり / 公的事業 / デザインコーディネート / コミュニティ |
研究実績の概要 |
本研究が着目している「地域的処方」概念を先導する活動として「まちなかの居場所づくり」に着目した。そして社会的・学術的関心の変遷や、既往研究の網羅的整理を進めた。具体的には、(1)「まちなかの居場所づくり」および「居場所」という用語について定義した。(2)運営者・利用者・近隣・地域・公的事業によって構成される「まちなかの居場所づくり」の構造を整理した。(3)これまでの社会的関心を「課題を抱えた社会における「居場所」の発見」「制度から離れた領域での「まちなかの居場所づくり」」「制度・施設を前提とした「居場所づくり」」の3フェーズに整理することが出来、さらに今後求められるフェーズは「制度を活用するまちなかの居場所づくり」であることを整理した。 このような枠組み整理を踏まえ、具体的には次のような調査・分析を進めた。(1)「まちなかの居場所づくり」の事例に対するヒアリング調査を実施し、公的事業を活用する「まちなかの居場所づくり」の社会的重要性として、世代交代の側面から説明できることを明らかにした。(2)「まちなかの居場所づくり」の運営者にとって、公的事業には好悪両面の影響があることを明らかにした。(3)運営者は悪影響に対し、運用/施設・整備、積極的/消極的といった違いのある幅広い方法で対応していることを明らかにした。 またポートランド、シアトルにおける先進事例に関する視察調査を実施し、高齢者や社会的弱者に対する包摂策として、コミュニティガーデン、居場所づくりなどの活動が実施されていることを確認した。またその際に重要な手法として、地域の多主体に配慮したデザインコーディネートが積極的に行われており、我が国の「まちなかの居場所づくり」に共通点があること、一方で民間の寄付文化が我が国と異なり、その点を補う仕組みが求められることを把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「地域的処方」という概念を具体化するにあたり、「まちなかの居場所づくり」に着目して研究枠組みを整理することが出来た。またこの枠組に基づき、全国の「まちなかの居場所づくり」先進事例に対するヒアリング、測量調査を進めることが出来た。2020年度の序盤に学会誌への投稿を目指し、研究成果を取りまとめている。 また当初予定していた英国の先進事例に対する調査については、BREXITによる社会的混乱の影響を受け、今年度の実施は見送った。代替として、米国における先進事例を調査することが出来たため研究活動を停滞させることにはならなかったが、2020年度以降の実施が望まれる。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、2019年度の成果に基づき「公的事業を活用する「まちなかの居場所づくり」」について、その進展プロセス、促進要因の解明が大きなテーマだと言える。 具体的な調査内容としてはまず、2019年度明らかにした運営主体が捉える公的事業の影響と、その悪影響を緩和するための対策方法について、利用者、地域住民の視点からも検証するとともに、観察など客観的な調査方法からも検証する。また、「まちなかの居場所づくり」の活動の進展プロセスについて、とくに開設の際に活用された人脈や活動拠点の拡大状況に着目し、分析をすすめる。そして、運営者の世代などの基本属性が、開設プロセスや公的事業の活用方法にどのような影響を与えているかという点を明らかにすることを通じて、今後の社会に求められる「まちなかの居場所づくり」像を描くことを試みる。 英国の「社会的処方」については、現地視察を含む調査を進め、日本への適用可能性を検証する。とくに、「まちなかの居場所づくり」が、公的事業の悪影響を緩和するために実施していた、運営上/空間活用上の工夫について英国の先進事例においてどのような違いが見られるか、個々の「社会的処方」の活動が政策的位置づけをあたえられることによりどのような制限を与えられているかと言った点の検証をおこなう。 一方、新型コロナウイルスの発生を受け、研究推進方策の変更を見据えておく必要があると考えている。観察、ヒアリングなどの手法を想定していた調査については、文献調査や電話、オンライン会議ツールを用いたヒアリング調査に切り替える必要が生じる可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費・物品費を節約できたため。令和2年度研究活動の充実のために活用する。特に、コロナ禍における在宅研究実施体制構築ための備品・資料購入に充てる予定。
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