研究課題/領域番号 |
19K15181
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
土井 脩史 京都橘大学, 現代ビジネス学部, 専任講師 (70779082)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 住宅計画 / 環境配慮住宅 / 中間領域 |
研究実績の概要 |
本研究では、温暖地域の居住文化の継承・発展に寄与する環境配慮住宅として、中間領域の対応可能性に着目した上で、中間領域の有効な計画手法を明らかにすることを目的としている。 2019年度は、主に中間領域を有する実住宅を対象とした調査及び実測に取り組んだ。対象事例として、調査協力の得られた京都の伝統的住宅(京町家)と集合住宅の住戸改修事例を選定した。 1)京町家を対象とした研究:縁側や土間などの伝統的な中間領域を有する住宅における温熱環境実測、被験者実験を実施した。温熱環境実測では、中間領域を有する京町家の夏期・中間期(秋期)における温熱環境の特性を把握した。さらに、被験者実験では、夏期における作業性と中間期における居場所選択の検証を行った。作業性に関しては、温熱環境だけではなく光環境や開放性(緑視率)等も影響することが明らかになった。また、居場所選択に関しては、被験者によって選択する居場所が異なっているものの、「外部空間との距離感」を重視して居場所を選択する傾向があることを明らかにした。 2)集合住宅の住戸改修事例を対象とした研究:対象住宅の1/30模型を用いた風洞実験を実施した。対象住宅では、中間領域の計画において引き戸の建具が多用されている。そこで、建具の開閉によって、住戸内に通風が確保されるのかどうか通風特性を定量的に測定した。その結果、通過風量、換気回数の大きい通風ルートや、通風に影響する開閉建具の条件を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に予定していた研究は、①図面分析と②実住宅における調査・実測であった。このうち、②実住宅における調査・実測については、計画当初に予定していなかった協力事例が得られたため、被験者実験を含めて当初の計画以上の内容を実施することができた。 ②実住宅における調査・実測を優先的に実施したため、①図面分析については図面収集段階に留まっているが、全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度については、下記の研究を実施する予定である。 ① 図面分析:中間領域を有する住宅事例における図面分析を通じて、中間領域の計画手法の整理を行う。既に収集した図面に加えて、さらなる事例を収集した上で、外部空間と内部空間の繋がりや断熱・気密性能に着目して図面分析を行う予定である。 ②住まい方調査・環境実測:令和元年度に引き続き、中間領域を有する住宅事例を対象とした住まい方調査・環境実測を行っていく。ただし、今年度は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、実地による調査・実測や被験者実験の実施が困難となる可能性もある。その場合、オンラインを活用した住まい手へのヒアリング調査なども検討していく予定である。模型を用いた風洞実験などの代替の研究方法も検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
中間領域を有する他地域の住宅の事例調査のための調査旅費、調査協力者金を計上していたが、2019年度は住まい方調査・温熱環境実測を優先させたため、他地域の事例調査を実施できなかったためである。また、新型コロナウイルスの感染拡大により、2~3月に予定していた情報収集や事例調査を実施できなかったことも影響している。 2年目に実施する予定の他地域の事例調査における調査旅費、調査協力者金に充てる予定である。
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