研究課題/領域番号 |
19K15183
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐藤 雄哉 豊田工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (50755840)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小さな拠点 / 立地適正化計画 / 空間計画 |
研究実績の概要 |
本研究では、都市計画区域内外で立案されている自治体の空間計画(総合計画・国土利用計画・都市計画マスタープランなど)が、実効性のある計画となり得ているかを以下の研究目的について多面的に検討し明らかにするものである。研究目的1(小さな拠点の形成と空間計画の関係)、研究目的2(立地適正化計画とその他の空間計画の関係)を明らかにしたのち、「集約型都市形成のための空間計画のあり方に関する考察」に取り組む予定である。令和3年度は、令和2年度と同様に、新型コロナウィルス感染症の影響を受け、出張を伴う現地調査等の機会が一部制限されたものの、研究目的1と研究目的2の分析を概ね研究計画通りに進めることができた。以下に示す個別の成果をまとめ、査読付論文3報・査読なし論文2報・学会発表4件として公表した。 研究目的1:「小さな拠点の形成が自治体の空間計画に与えた影響」 令和2年度の成果をもとに、「研究目的1」では都市整備部局とその他の部局間での調整実態を確認した。その際に、必要に応じて自治体の都市整備部局などに部局間調整の実態などを電話やヒアリング調査などで確認し、精度の高い分析に取り組んだ。 研究目的2:「立地適正化計画策定が自治体の空間計画に与えた影響」 「研究目的2」では、各自治体が採用している居住誘導区域の設定手法に対する政策的背景などを明らかにすることに取り組んだ。これまでに策定していた空間計画(立地適正化計画以外の総合計画や都市計画マスタープランなど)との関連性を踏まえながら、居住誘導区域の設定手法による類型化ごとに、立地適正化計画策定にあたっての課題を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症の影響を受け、資料収集や現地調査等の出張を伴う調査が一部制限されたものの、取り掛かることのできる分析内容から取り組み、機会を見て現地調査等には赴くこととしながら研究を展開しており、当初の想定と同程度の進捗状況となっている。 なお、ヒアリング調査などを遠隔実施する対応もとったため、より多くの自治体への調査が可能となり、その結果、成果として公開できる内容も充実した。そのため、雑誌論文(査読有)を複数公表できた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度までの成果をもとに、「研究目的1」の都市計画区域との関係性からみた小さな拠点の形成の課題、「研究目的2」の立地適正化計画での居住誘導区域の設定手法からみた実効性について、それぞれ得られた知見を大都市型と地方都市型に分け、都市計画区域内外にわたって集約型都市形成のために空間計画を策定する上で対処すべき問題点を考察する。 大都市型では、法令で区域区分が義務付けられた大都市圏やその近郊の自治体での居住誘導区域の設定に対する課題に着目する。地方都市型では、大都市圏ではみられない都市計画区域外の集落の維持に対する計画での位置づけに着目する。 最終的に、本研究の総括として「現実の制度や活用実態といった研究成果を踏まえた都市計画区域に拘らないコンパクトシティ実現のための空間計画のあり方」を提言する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の感染拡大予防の観点から、調査の一部を延期するなどの対応をとったため、旅費や物品費の執行が抑制されたことで次年度使用額が生じた。このため、令和4年度に予算執行が先送りされていた旅費や物品費を資料収集やGIS分析などで執行していく。
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