研究課題/領域番号 |
19K15185
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
嚴 先ヨン 筑波大学, システム情報系, 助教 (90823451)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 拠点計画 / 人流変化 / 公共交通 / 土地利用計画 / 広域連携 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、住民が施設を利用する際の到着しやすさという利便性の観点から土地利用、施設、交通を連携して評価できるアクセシビリティ指標と、それに基づいた自治体の都市構造の診断・課題の抽出手法を提案し、日本全国の自治体における現況と課題を明らかにすることである。2021年度には,第一に、住民が施設を利用する際に居住地の自治体以外の施設の利用を考慮しながら、移動距離を用いてアクセシビリティの評価を行い、地域間の連携の有効性と連携を考慮した拠点計画の手法を提案した。その結果から、地域間の連携が移動距離の短縮に有効である地域があること、公共交通の利用では効果のある地域が一部に限られること、居住人口と滞在人口を同時に考慮することで公共交通の結節点が重要な役割を果たすことを明らかにした。第二に、公共交通網の利便性の評価において鉄道性能指標を提案し、世界の40都市に対する評価を行った。その結果から、各都市の鉄道サービス水準の定量化ができ、人口と鉄道網の連携した計画の重要性を示した。第三に、COVID-19により都市空間での人流に大きい変化があったため、ビッグデータに基づいた人流の変化パターンの分析を行い、土地利用特徴や業種別従業者数との関係を調べた。その結果、移動を規制する対策の下でも地域により変化が異なること、土地利用混合度が高く、公園がある地域での滞在人口が増加していること、市街地での滞在人口の減少は人数の減少よりは滞在時間の減少の影響が大きいことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に既述のとおり、1)地域間連携を考慮したアクセシビリティ評価と拠点配置手法の提案、2)公共交通網の性能評価指標の提案と世界都市への適用、3)COVID-19による人流変化と土地利用との関係の解明を行った。また、それぞれの結果について、国内外における研究発表及び論文投稿を行ったため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画の内容についてはほとんど達成したが、参加予定であった学会がCOVID-19で延期されるなど発表できなかった成果があったため、成果発表を中心に実施する。また、開発した施設配置モデルの実際の政策への適用も検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの関係で参加予定であった国際学会が中止またはオンライン開催となったため、旅費の執行ができず次年度使用額が生じた。追加分析のための物品の購入、学会参加及び論文投稿のために使用する予定である。
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