研究課題/領域番号 |
19K15189
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
金城 春野 琉球大学, 工学部, 助教 (90739624)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 沖縄 / 米国統治 / 先進技術 / 地域主義 / 近代建築 / 戦後 / 米軍工事 |
研究実績の概要 |
2年目年度は、初年度から継続して、米国統治期の特異な情況下で建設計画が進行した①琉球政府立博物館(1966年竣工)と②琉球銀行本店(1966年竣工、現在解体中)の2つの建築物を対象とした文献資料収集とその精査を中心に研究を進めた。更に、年度後半からは、③残存建物の修繕工事に関する研究を開始した。これは、②の調査過程から派生した研究対象である。戦後沖縄建築史においては、米軍工事により鉄筋コンクリート造建築が急速に普及したことで知られているが、その過渡期において残存建物が再利用されたことはあまり認知されていない。③は、当初予定していた研究対象ではないが、本研究課題の主旨と一貫し、戦後沖縄建築史で抜け落ちていた史実を補完していく上で重要な対象である。 ①琉球政府立博物館に関する研究成果として、日本建築学会大会学術講演に研究梗概を投稿し、発表した(1件、2頁)。沖縄県立博物館に調査依頼していた設計競技案の図面については、その一部を所有していることが分かり、写真記録できた。これにより、文献資料収集は完了し、査読付き論文の執筆も最終段階に入り、2021年度の投稿を目指している。 ②琉球銀行本店に関する研究成果として、日本建築学会九州支部研究報告に研究梗概を投稿し、発表した(1件、4頁)。琉球銀行総務部、りゅうぎん総合研究所の協力が得られたことにより、実施図面および写真の提供があった。更に解体前の情況を利用して現況調査ができた。また、今年度は本研究成果を新聞、テレビなどのメディアのインタビューに応じるなどして地元社会に還元する機会が多くあった。一般公開した琉球銀行本店の見学会(2020年11月14日開催)では、建設経緯や建築物の特徴の解説を行った。 ③残存建物の修繕利用に関する研究成果としては、沖縄県公文書館および那覇市歴史博物館で文書資料および写真収集をしているが、まだ初期段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象①と②については、文献資料収集が最終段階に入り、精査している最中であり、当初の予定から順調に進んでいる。新型コロナの影響により、予定していた海外出張(主にワシントンDCなど米国での資料収集)ができなかったが、研究代表者が拠点としている沖縄で調査可能な史料に焦点を切り替え、柔軟に対応している最中である。それに応じて、新たな研究対象③を派生させることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象①と②については、資料収集の目処がたっている。③については、資料収集を継続し、その精査も同時に進める。新型コロナの影響で、国外や県をまたぐ移動を控える必要があり、拠点である沖縄で可能な資料収集に切り替えるなど柔軟に対応して成果をあげていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国外、県外出張を取りやめたため次年度使用が生じている。学会などもオンライン開催だった。3年目の年度は、情況に応じて出張に赴く機会を得たい。また、図面のデータ化のための物品(機器、ソフト)購入および人件費を予定している。
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