研究課題/領域番号 |
19K15199
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研究機関 | 北海道博物館 |
研究代表者 |
鈴木 明世 北海道博物館, 研究部, 研究職員 (30823942)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 民家 / 農家建築 / 北海道 / 富山県 / 新潟県 / 建築資料 / アーカイブズ / 建築史 |
研究実績の概要 |
本研究は、北海道開拓の村に移築復元されている旧樋口家農家住宅及び旧菊田家農家住宅を対象として、「 1. 収集資料の全体把握・研究の土台の構築」「2. 移住先での住宅空間の変容過程の分析」「3. 母村における住宅様式・集落形態・生活文化の変容の調査」「4. 移住先と母村の変容過程の比較・分析」の4つの段階を通して、北海道への移住者の住宅が生活文化的な影響を受け、どのように変化してきたかを見出すことを大きな目的としている。令和元年度は、当初計画上「1. 収集資料の全体把握・研究の土台の構築」として、北海道博物館に所蔵されている移築復元時の研究関連資料の整理を行い、資料の全体像の把握及びそれらの資料を用いた研究基盤の構築を行なう予定であった。実績としては、所蔵資料の精査を行い全体把握は行ったものの、それらをデジタルデータベース化して資料同士の関連づけをするには至っていない。なお、これらの資料を複合的に見ることで、歴史的変遷の最終段階である解体時と、移住当初の創建時の比較を可能にし、以降の文献調査と合わせることで、移住先での変遷過程とその経緯を把握することができる。 加えて、翌年度以降に計画していた「2. 移住先での住宅空間の変容過程の分析」を本年度から実施し、市史等の文献・資料から旧樋口家農家住宅について調査を開始した。その成果の一部を北海道博物館における「蔵出し展 模型で見る札幌建築物語」にて、札幌における住宅の変遷の一事例として用い、広く一般に向けて公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は、研究代表者の所属する北海道博物館における調整の関係で、上記資料整理の開始が遅れてしまった。そのため、当初予定であったデータベース作成にかかる時間を設けることができなかった。しかし、研究開始前年度に行なっていた予備調査の学会発表を行なったり、令和2年度に計画していた文献調査の開始を早め、一部の成果を北海道博物館における展示会「蔵出し展 模型でみる札幌建築物語」として広く一般に公開したりと、成果は一定程度得られている。したがって、当初計画に対して、作業の順番が一部入れ替わった状況になったと考え、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、まず令和元年度に行えなかったデータベース作成を行なう。また、計画上は研究対象2棟のうち旧樋口家農家住宅の郷里の地域への現地調査を実施する予定である。しかし、現在の社会状況を鑑みた上で実施の検討をする必要があり、実施が難しいと判断した場合は令和3年度へ繰越すことが考えられる。その場合、令和2年度は、令和3年度に行なうまとめ作業に向けた具体的な指針を立てた上で、綿密な資料調査を行なう必要がある。 令和3年度は、計画上では上半期までに、旧菊田家農家住宅の現地調査を行い、下半期には研究期間全体のまとめ作業を行なう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた研究に必要な物品のうち、データベース管理ソフトについて、作業遅延の関係で最適なソフトの判断が遅れてしまったために、購入できなかった。次年度使用額は、そのまま令和2年度にソフトウェア購入に用いる。
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