本研究では、明治期の北海道への移住者が郷里(母村)の文化を住宅建築にどのように取り入れてきたかを明らかにすることを目的とした。野外博物館北海道開拓の村に移築復原された農家住宅建築を対象にして、移築復原時の資料を整理するデータベースを構築し、郷里と移住先での建造物の形態を比較分析した。その結果、構造的な類似性だけでなく、郷里の生活文化や産業の影響のもとで建設され、北海道の気候や資材に適応する形で変容した過程が明らかになった。さらに、郷里と移住先が密接に関係して建設された事例も確認され、移住者の文化的背景が住宅建築に及ぼした具体的な影響を明らかにした。
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