信州最南部の飯田・下伊那地方における歴史的景観の変遷に関して、現存する明治期の町村地図や建物台帳の歴史資料をGISデータとして数値地図化し、そこから近世から近代における景観構造の変遷を考察した。具体的な地域としては、①旧飯田城下町地区、②旧下川路村を対象に復元データベースの構築を行い、土地利用や宅地および民家建築の空間的統計情報を整理し、それぞれ当地域における都市景観と農村景観の具体事例として、景観構造の実態把握に努めた。 本研究の主要な成果は、当地方の社会経済の近代化に大きく寄与した蚕糸業ブーム到来以前の明治20年代の農村景観の事例として、下川路村の景観復元図を作成したことに求められる。
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