本研究課題の最終年度である2021年度は、主に2箇所のヒアリングを含む現地調査を行うことができた。具体的には(1)埼玉県本庄市歴史民俗資料館(現在休館中、旧本庄警察署を転用)でのヒアリング調査、(2)徳島県鳴門市旧北灘西小学校の公開イベント(当初は2021年度を予定していたが2022年5月に延期)の二点を実施した。 埼玉県本庄市歴史民俗資料館では、同市の教育委員会の協力を得て、この民俗資料館が計画・開設された当時の議会資料や議事録を閲覧・複写した。これにより、文化財建造物が資料館へと転用された当時の社会的事情を知ることができる貴重な資料とあった。民俗資料館建設にあたっては、昭和54年に国庫・県費補助金事業として実施されたが、同様のケースはは、当時のメディアでも取り上げられるなどし、こうした資料館建設が当時の流行であったことも文献調査も含めてわかってきた事実である。また徳島県鳴門市旧北灘西小学校の資料室は、建築家・増田友也が1977年に設計した小学校(現在は、廃校)に位置しているがこの建築を公開するイベントを実施することができた 2019年度から実施した本研究課題であるが、2019年は高知県馬路村、宮城県仙台市での文献・ヒアリング調査や地元の方々とのイベントの実施などを行うことができた。一方で2020年度からの新型コロナウイルスの感染拡大により、現地調査の内容は研究計画から大きく変更せざるを得なかったことは残念である。しかし、2021年度は埼玉県本庄市の協力を得た現地調査により当初の目的としていた「建築はどのように展示されてきたか」について、特定地域の事例ではあるが、その一端を垣間見ることができ、今後展開していきたい調査の足がかりが出来たと考えている。
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