• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

宇宙機の汚染除去を目指した真空環境下で長期間機能する光触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K15211
研究機関上智大学

研究代表者

下迫 直樹  上智大学, 理工学部, 研究員 (80838095)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード宇宙機 / 光触媒 / コンタミネーション / 二酸化チタン / 真空
研究実績の概要

本研究の最終目的は,軌道上における宇宙機の汚染問題を解決するために,宇宙環境下で機能する光触媒を開発することである.これまでの研究から,真空環境下では光触媒活性が低下することが分かっている.真空環境下で長期間,機能する光触媒を開発するために,①真空環境下で光触媒活性が低下する原因を詳細に調べ,②その原因をもとに真空環境下で機能する光触媒の開発を行う.

①について,二酸化チタン薄膜および窒化ガリウム薄膜によって,一般的な汚染物質であるメチルレッドの真空環境下での分解実験を行った.真空環境下において,二酸化チタンおよび窒化ガリウムはメチルレッドを中間生成物へ分解することはできるが,その中間生成物を分解することはできないことを明らかにした.真空・大気環境下での実験結果の比較,分解中の二酸化チタンの電気抵抗の変化から,メチルレッドの中間生成物を真空環境下で分解できなかった原因は,大気中酸素分子の光触媒分解への直接的な寄与がないためだと結論付けた.
②においては,メチルレッドの以外の宇宙機から放出される様々な汚染物質の分解速度を定量的に見積もるために,水晶振動子マイクロバランスを利用した実験系を構築した.水晶振動子上二酸化チタン薄膜の作製の条件出しを行い,この実験系と水晶振動子上二酸化チタン薄膜を用いて,メチルレッドの分解速度の定量的に評価することに成功した.この実験系は②の用途だけでなく,①の用途でも使用できる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究目的である①,②のそれぞれにおいて,当初の予定通り進展しており,(2)の達成度だと評価できる.

今後の研究の推進方策

①に関しては,メチルレッドの以外の汚染物質(オレアミドやフタル酸ビス,サリチル酸)を用いて,水晶振動子マイクロバランスを利用して同様の実験を行う.また,酸素以外に水の光触媒活性への影響を調べる.
②においては,これまでの真空環境下の分解速度低下の原因を参考に,真空環境下でも高活性な光触媒を作製する.これらの光触媒活性は,構築した水晶振動子マイクロバランスを実験系を用いて,定量的に比較する.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Tolerance to electron beams of TiO2 film photocatalyst2019

    • 著者名/発表者名
      N. Shimosako, K. Yoshino, K. Shimazaki, E. Miyazaki, and H. Sakama
    • 雑誌名

      Thin Solid Films

      巻: 686 ページ: 137421-137421

    • DOI

      10.1016/j.tsf.2019.137421

    • 査読あり
  • [学会発表] 真空環境におけるTiO2光触媒による汚染物質の重量減少2020

    • 著者名/発表者名
      加藤幹大, 下迫直樹, 坂間弘
    • 学会等名
      応用物理学会2020年春季大会
  • [学会発表] Decomposition of Oleamide by TiO2 Photocatalyst in Vacuum2019

    • 著者名/発表者名
      N. Shimosako, K. Shimazaki, E. Miyazaki, and H. Sakama
    • 学会等名
      32nd International Symposium on Space Technology and Science
    • 国際学会
  • [学会発表] TiO2光触媒による汚染物質の重量減少2019

    • 著者名/発表者名
      下迫直樹, 吉野光祐, 加藤幹大, 坂間弘
    • 学会等名
      第63回宇宙科学技術連合講演会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi