従来材料では実現不可能な超高性能でエキゾチックな特性を持ち、高自由度な多機能材料として、航空宇宙構造物の革新的な性能向上が期待されているメカニカルメタマテリアルについて、本研究では、任意の微視格子構造により構築されるメカニカルメタマテリアルにおける微視構造設計とマクロな構造応答の関連性を明らかとし、その構造特性の特徴及び性能、実用性を評価するための解析手法の構築及び検証に取り組んだ。具体的には、メカニカルメタマテリアルの微視的・形態的特質を正確に踏まえた数値均質化法を応用する事で、異なる特質を持つ微視構造から構成される人工材料により構築された巨視的な構造の材料物性を予測できる手法を構築した。さらに、そのような材料物性を可能とする数値均質化法を、申請者が独自開発した超異方性構造の非線形空力弾性解析技術と組み合わせる事で、メカニカルメタマテリアルを航空宇宙構造へ適用した場合のマクロな構造応答と空力特性を評価できる非線形マルチスケール空力弾性解析手法として開発を行った。加えて、モーフィング翼や柔軟翼、軽量翼設計への適用を例に、メカニカルメタマテリアルを航空宇宙構造へ適用した際の構造特性と空力荷重下における応答に着目し、そうした革新航空構造の性能向上の可能性を示した。 これまでの研究実績に基づき、今年度は航空構造の軽量化や多機能化のための多様なメカニカルメタマテリアル設計とその特性及び機能性を評価し、航空宇宙構造の軽量化や機能性の向上に向けたメカニカルメタマテリアルの指針を示した。さらに、そうした特異な設計を製作するための積層造形技術を応用した構造・材料製作法の確立にも成功した。
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