研究代表者は、弊所の研究にて大型バルクキャリア船で、平水中での喫水・トリムの変更が馬力に与える影響を調査し、計画喫水から最適トリム状態を取ることで、約2%の馬力改善が達成できる事を確認している。 本研究にて、最適トリム状態は波浪中抵抗増加係数(KAW)が全体的に少し大きくなる結果を得た。波浪中抵抗増加係数は、平水中と波浪中における抵抗値の差分を無次元化した係数であることから、波浪による抵抗増加分も増えており、運動は同等であることから、トリムが変わったことによる造波の影響が見られた。過去に行った平水中の結果でも、最適トリム状態にすることで抵抗値自体は上昇するが、自航要素の改善により最終的な制動馬力(BHP)が低減しているため、波浪中においても同じ傾向と言える。 波浪中の荷重度変更試験(自航試験)は、波浪中の抵抗増加及び運動が最も大きい波長船長比1.1で行った。荷重度変更試験に関しては、波浪中の影響は少なく、平水中と同等の結果であった。また、省エネ負荷物の効果に関しても平水中と同等の効果が見られ、波浪中であっても省エネ付加物を装着する事による効果が確認された。 運航指標としてはバルクキャリア船のような肥大船は、造波抵抗より摩擦抵抗の影響が支配的であるため、トリム調整でも浸水面積が同等であることから、極端なトリムによる性能改善は考えにくく、計画喫水付近に最適なトリムがあると考えられる。
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